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節税を考えるなら最低限知っておきたい所得税の計算構造(後編)

 
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個人事業主の所得税節税シリーズです。

まずは、プロローグとして、所得税の節税を検討するにあたって、最低限ご理解いただきたい所得税の計算構造を簡単にまとめています。

こちらは、その後編の記事になります。

ちなみに、前編の記事はこちら。

[clink url=”https://koyama-tax.jp/2017/07/24/keisannkouzou-2/”]

本来は、もっと複雑な計算構造となっていますが、分かりやすさを重視して、主要なところをピックアップして記載していますので、その点につきましてはご了承願います。

 

所得税の計算構造の概要

前編でもご紹介しました上記の図ですが、こちらが、所得税の計算構造の大まかな概要を示したものとなります。

前編からの繰り返しとなりますが、まさに、この図の中に、所得税の節税ヒントがたくさん詰まっているといえます。

ちなみに、前編では、第1段階と第2段階をご紹介しましたので、この後編では、第3段階以降の解説をさせていただきます。

 

第3段階:算出税額

それでは、第3段階の解説です。

第1段階で所得金額を計算行い、さらに、第2段階で所得から控除する所得控除額の計算を行いました。

そして、この第3段階では、税率を乗じて所得税の額を計算していくことになります。

所得が多ければ多いほど税負担も大きくなる総合課税制度

第1段階では、総合課税制度と、分離課税制度のご紹介をしました。

総合課税制度に該当する所得については、全ての所得金額を合算して、税率を乗じることになります。

こちらが、その税率表となります。

上記の税率表は、国税庁のホームページのタックスアンサー「所得税の税率」を参考に作成しております。

こちらを見ていただければわかる通り、所得が増えれば増えるほど、税率が上昇していく仕組みとなっており、この仕組みのことを累進課税と呼んでいます。

ただ、誤解されがちですが、500万円の所得の方がいたとすれば、所得税の計算は、500万円に20%を乗じて終わりということではありません。

195万円までは5%で計算、330万円までは10%で計算、・・・というかたちでの計算になります。

平成27年より最高税率は40%から45%に引き上げられていますが、過去には最高税率が70%という時期もあったことには驚きです。(参考:財務省ホームページ「税率・税負担に関する資料」

現在の個人住民税の税率は都道府県と市町村を合わせて10%となっていることから、所得税と住民税を合わせて最大55%の税率になるということです。

よくプロ野球選手などの高年棒の話題が出ると、「税金でだいたい半分は持っていかれる。」なんて話が出てきますが、それは、この税率が根拠となっています。

法人成りの判断もこの税率表がキーポイントとなる

個人事業が順調に推移し、それなりに所得が増えてくると、法人化(法人成り)を検討しようという話になりますが、法人化を検討するにあたっては、注目されるのが「所得税と法人税の税率差による節税」なのです。

法人は、法人税に加え法人事業税、法人住民税を負担することになりますが、これら全てを加味した税率(法定効税率)は、約30%程度になっています。

個人の場合、所得税と住民税を合わせて最大55%の税率となりますので、個人での所得が増えてくるとどこかのタイミングで、法人化したほうが税負担が下がるということになるのです。

合算して計算されない分離課税制度

総合課税とされる所得とは異なり、分離課税とされる所得については、他の所得と合算せずに、その所得単独で税率を乗じて所得税を計算することになります。

ちなみに、分離課税の税率は以下のとおりです。

【申告分離課税の税率(所得税のみ)】

  • 山林所得:(山林所得×1/5×総合課税の税率)×5(参考:国税庁HP
  • 退職所得:退職所得×総合課税の税率(参考:国税庁HP
  • 土地や建物の譲渡所得:土地や建物の譲渡所得×15%(所有期間5年以下の場合は30%)(参考:国税庁HP
  • 株式の譲渡所得:株式の譲渡所得×15%(参考:国税庁HP
  • 上場株式に係る配当所得:上場株式に係る配当所得×15%(参考:国税庁HP
  • 先物取引に係る雑所得:先物取引に係る雑所得×15%(参考:国税庁HP

第4段階:税額控除

次に、第4段階の解説です。

第3段階では、税率を乗じて所得税の計算まで辿り着きましたが、この第4段階では、政策的な意図から、住宅購入や一定の寄付を行った場合などに、所得税を軽減する税額控除を認めています。

第4段階では、第3段階で計算した所得税から差し引く、税額控除を計算します。

主な税額控除

主な税額控除は以下のとおりです。

【主な税額控除】

  • 住宅ローン控除:住宅を新築した場合など(参考:国税庁HP
  • 配当控除:一定の配当を受けた場合など(参考:国税庁HP
  • 寄附金控除:政党や認定NPO等に寄付した場合など(参考:国税庁HP

所得控除と税額控除の税金に対するインパクトの違い

よく勘違いされることですが、所得控除(第2段階)と税額控除(第4段階)は全く別物です。

もちろん、所得控除と税額控除とでは、金額が同額であれば、税額控除のほうが有利となります。

それは、「所得控除は税率を乗じる前の所得を控除されるもの」、そして、「税額控除は所得税から直接控除されるもの」という違いにあります。

例えば税額控除を100万円受けることができれば、納付する所得税が100万円減りますが、所得控除を100万円受けることができれば、「所得控除100万円×税率分」だけしか納付する所得税が減りません。

 

第5段階:納付確定

とうとう、最後の第5段階です。

第5段階では、第4段階で計算した税額控除後の所得税から、年の途中に支払った予定納税や源泉徴収税額を差し引いて、3月15日までに納付する所得税の金額を計算します。

予定納税の仕組み

予定納税とは、前年の所得税額が一定の金額を超える場合には、3月15日に年間分をまとめて所得税を納めるのではなく、最大年3回に分割して、あらかじめ所得税を納める仕組みのことです。

その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合、その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納付するという制度があります。この制度を予定納税といいます。(国税庁HPタックスアンサー「予定納税」より一部抜粋)

第1期目の予定納税は7月1日から7月31日まで、第2期目の予定納税は11月1日から11月30日までとなっていますので、税務署から送付された納付書に基づいて納付の手続きを行うことになります。

 

まとめ

何度も繰り返しになりますが、この図のイメージをつかむことが、所得税の節税を考えるための基本となります。

これから、各論の記事を増やしていきますが、この図の中のどの段階の話かということをイメージすることで、より理解も促進されるものと思います。

 

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