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青色申告特別控除で大きく節税。税理士に依頼しても節税効果で税理士コスト分をペイできる?(青色申告特別控除の活用)

 
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創業や経営支援分野に注力している税理士事務所です。税理士としては珍しい大手金融機関で融資実務を経験したキャリアを持ちます。どんな些細なことでも相談していただけるように丁寧な対応を心掛けています。
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個人事業主で、きちんと記帳したら確定申告でお得になることがあると聞いたのですが、そんなのがあるのでしょうか?

教えて君

青色申告特別控除のことかな?最大で65万円の控除が可能になる制度のことだね。

ベテラン先生

えっ、65万円もって本当ですか?

教えて君

もちろん。例えば、所得税と住民税を併せた税率が30%とすると、19.5万円の節税効果ってことだね。税理士を雇ったとしてもお釣りがくることもあるんだ。

ベテラン先生

それは、詳しく知りたいです!!

教えて君

「青色申告特別控除って聞いたことあるけど、何だか大変やつなんでしょ?」とおっしゃる方も多いのではないでしょうか。

しかし、大変な作業は税理士に頼んでしまって、青色申告特別控除の適用を受けて節税効果を享受するという選択肢もあります。

もし、「税理士に依頼する申告報酬 < 節税効果」となれば、実質的な資金負担は生じないことになります。

また、税理士に任せることで、煩わしい確定申告からも解放される可能性があるのです。

今日は、そんなメリットの大きい青色申告特別控除についてご説明いたします。

 

青色申告特別控除の概要

まずは、青色申告という制度からご紹介し、そして、青色申告特別控除の概要を簡単にご説明いたします。

青色申告と白色申告の違いは?

日本では、納税者が自分自身で申告を行う申告納税制度を採用しているため、正確な申告を促す目的で、申告の根拠資料をきっちり残して、記帳もしっかり行うことで、税制上の特典をあたえようというのが青色申告の趣旨です。

ちなみに、よく誤解されがちですが、「白色申告であれば記帳も書類の保存もいらないのでしょ?」というのは大きな間違いです。白色申告でも記帳と書類の保存は必要だということです。

平成26年1月から白色申告についても記帳と帳簿書類の保存が必要となったため、正直なところ、青色申告でも白色申告でも手間はそんなに大きく変わりませんので、あえて白色申告を選ぶメリットは薄れてきていると言えます。

青色申告特別控除ってなに?

青色申告特別控除は、青色申告を選んだことによる特典の一つです。

適用要件は後程詳しくご説明しますが、イメージとしては、複式簿記できっちりと記帳を行ったら不動産所得や事業所得から65万円分の控除を認める、また、簡易な方法で記帳を行った場合には10万円分の控除を認めるというものです。

きっちりと記帳を行うだけで65万円の控除が可能。これは、かなり有利な制度だと言えます。

そして、この控除は一年だけで終わりというわけではありません。要件を満たす限りは、毎年適用を受けることができます。

 

青色申告特別控除の適用要件

青色申告特別控除には、「65万円の控除」と「10万円の控除」の2種類があります。

こちらでは、それぞれの要件を確認します。

65万円控除の要件

  • 青色申告の承認を受けていること
  • 不動産所得(一定の規模(事業的規模)が必要)、または、事業所得を営んでいること
  • 複式簿記(現金主義は不可)により記帳していること
  • 貸借対照表を確定申告書に添付していること
  • 法定申告期限(3月15日)までに確定申告書を提出していること

ここで厄介なのが、不動産賃貸業を営んでいる方の場合、不動産賃貸業が一定の規模以上ないと65万円控除の適用はなく、10万円しか控除できないということです。

ただ、不動産賃貸業が一定の規模以上なくても、事業所得を同時に営んでいれば、65万円控除の適用はあります。

そして、複式簿記とは、分かりやすく言うと、会計ソフト(弥生とかMFクラウドとかfreeeとか)を導入して記帳をしなくてはならいというように考えていただければと思います。

複式簿記でなくとも収入と経費の集計は可能ですが、貸借対照表を作るとなると会計ソフトで複式簿記により記帳を行わないと非常に困難だということです。

10万円控除の要件

  • 青色申告の承認を受けていること
  • 不動産所得(規模は関係なし)、または、事業所得、または、山林所得を営んでいること

青色申告の承認を受けているのであれば、上記の65万円控除の要件を満たさなくとも、少なくとも10万円の控除は適用ありということです。

不動産所得の事業的規模とは?

さて、不動産賃貸を営んでいる方の場合、「65万円の控除」の適用が受けれるがどうかの壁となる、不動産所得の規模の判定ですが、所得税基本通達でその判定方法が定められています。

26-9 建物の貸付けが不動産所得を生ずべき事業として行われているかどうかは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で建物の貸付けを行っているかどうかにより判定すべきであるが、次に掲げる事実のいずれか一に該当する場合又は賃貸料の収入の状況、貸付資産の管理の状況等からみてこれらの場合に準ずる事情があると認められる場合には、特に反証がない限り、事業として行われているものとする。
(1) 貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること。
(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。(「所得税基本通達26-9」より抜粋)

つまり、アパートやマンションを賃貸しているのであれば10室以上賃貸していること、また、貸家を賃貸しているのであれば5棟以上賃貸していれば、「65万円控除」の要件を満たす規模だとここに定められています。

この点は要注意です。

青色申告特別控除の内容を国税庁のHPで確認

青色申告特別控除の詳細につきましては、こちらの国税庁のHPで詳細をご確認できますので、ご参考にしてください。

 

青色申告の承認を受けるための手続き

青色申告特別控除を適用するためには、大前提として、青色申告の承認を受けている必要がありますので、ここでは、青色申告の承認の受け方をご説明いたします。

青色申告の承認を受けるためには?

青色申告書の承認を受けるためには、青色申告承認申請書を管轄の税務署に提出しなくてはなりません。

ちなみに、税務署の管轄は、こちらの国税庁HPより確認することができます。

青色申告承認申請書とはどんなもの?

青色申告承認申請書は、こちらの国税庁HPより印刷することができます。

ちなみに、現物はこちらで、A4で1枚ものとなっています。

注意すべきは、真ん中の方のいつの年から適用を受けるのかというところを間違って記載しないことです。

青色申告承認申請書の提出期限に注意

そして、最も注意すべきは、この青色申告承認申請書の提出期限です。

原則は、青色申告を適用しようとする年の3月15日までに提出することとなっていますが、その年の1月16日以降に新たに事業を開始した場合は、事業を開始した日から2か月以内に提出しなくてはならないと定まっています。

※この点は、特に細かい定めとなっていますので、出来れば専門家に相談したいところです。開業初年度は、赤字になる可能性が高く、青色申告の承認を受けることで、赤字は翌期に繰り越すこともできますが、もし、初年度で青色申告が適用できないとなると本当に大きな痛手になりますので要注意です。

例えば、私の場合、平成29年7月1日に開業しましたので、開業日から2か月以内に申請書を吹田税務署に提出すれば、今年(平成29年)の確定申告から適用が可能となります。

もし、2か月を経過した後に提出することになれば、来年以降の適用ということになります。

ちなみに、相続により事業を開始した場合には、さらに細かい定めとなっていますので、詳しくは、国税庁HP等でご確認ください。

青色申告特別控除の手続き

青色申告の承認を受ければ、あとは、上記の適用要件を満たすように記帳を行い、その年の確定申告書に65万円なり10万円なりの金額を控除して期限までにきっちりと申告書を提出することで完了です。

 

青色申告特別控除の注意点

ここまでは、適用要件と手続きを見てきましたが、いくつか注意点を補足します。

確定申告の提出期限を過ぎて申告した場合はどうなるの?

65万円控除の要件として、申告期限までに確定申告書を提出するという要件がありましたが、万が一、期限内に申告ができなかった場合には、65万円控除は受けられないことになります。

ただ、この場合でも、10万円控除は受けることができます。

赤字の場合はどうなるの?

たまたま、その年の不動産所得や事業所得が赤字の場合は、65万円控除や10万円控除は切り捨てとなってしまい、他の所得から控除したり、翌年に繰り越したりすることはできません。

控除する順番ってあるの?

10万円控除は不動産所得→事業所得→山林所得の順に控除し、65万円控除は不動産所得→事業所得の順に控除することになります。

 

青色申告特別控除の節税効果

最後に、青色申告特別控除の節税効果を確認させていただきます。

所得税の節税効果

あくまで所得税から65万円や10万円をそのまま引いてくれるわけではありません。

不動産所得や事業所得、山林所得から控除してくれますので、その年の総合課税される所得税の税率分だけ節税効果が出てくることになります。

このため、最低でも以下のとおりとなります。

65万円×5%(最低の税率)=32,500円

10万円×5%(最低の税率)=5,000円

最大では、以下のとおりとなります。

65万円×45%(最低の税率)=292,500円

10万円×45%(最低の税率)=45,000円

住民税の節税効果

所得税だけではなく、もちろん、住民税にとっても節税効果があります。

住民税は税率は、一律10%(都道府県+市町村)となっていますので、節税効果は以下のとおりとなります。

65万円×10%(最低の税率)=65,000円

10万円×10%(最低の税率)=10,000円

国民健康保険料も軽減される

国民健康保険に加入している場合についても、青色申告特別控除を適用することで所得が少なくなりますので、保険料が軽減されることになります。

結局のところの節税効果の簡単な計算方法

だいたいの節税の目安ですが、昨年の自身の確定申告書をみて、自分の所得税率を以下の表で確認していただき、以下の所得税率に住民税の10%を加えた税率を65万円なり10万円に乗じれば節税額となります。

例えば、課税される所得が500万円だったとすると、所得税の税率が20%、住民税の税率10%となり、65万円×30%=19.5万円が節税効果となります。

さらに、国民健康保険に加入している場合には、さらにプラスアルファが期待できるということになります。

 

まとめ

会計ソフトでの記帳が難しいのであれば、税理士に丸投げすることで、65万円控除を適用し、上記で計算した節税効果が税理士への依頼コストを上回るのであれば、実質的な負担なしで、煩わしい確定申告を自分の手元から離すことができます。

また、最近では、簿記の知識がなくても、MFクラウドやfreeeといったクラウド会計を利用することで、自分自身で複式簿記による記帳が可能となりますので、自分でクラウド会計を導入して手続きを行うということも検討に値します。

このように、非常に効果の大きい節税策の一つですので、65万円控除を適用していない場合には、是非、検討することをお勧めします。

青色申告特別控除を適用していない個人事業主の方は、税理士を雇って節税効果を享受するということも検討してみる価値ありとういことですね。

ベテラン先生

 

【注意】平成30年税制改正による変更点

上記は、平成30年度税制改正により一部制度が見直しとなる予定です。

見直しの概要は、以下の通りとなります。

【見直しの概要】

  • 取引を正規の簿記に従って記録している個人事業主が受けられる青色申告特別控除の控除額を現行の65万円から55万円に引き下げる
  • ただし、電子申告を実施するか、帳簿を電磁的記録の備え付け及び保存を行っているかのいずれかの場合には、従来通りの65万円の控除額となる
  • 上記は平成32年より実施

詳細は、以下の記事をご参照ください。

 

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