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個人事業主の退職金準備を活用した節税策(小規模企業共済の活用)

 
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節税と言えばこれだっ!と言えるものってありますか?

教えて君

その質問はどうかな。その方それぞれの状況で、出来ることも違うし、一概には言えない。けど、これは検討してほしいというものならある。

ベテラン先生

是非教えてください!

教えて君

個人事業主の最もメジャーな節税対策と言えば、小規模企業共済。そう言い切る専門家も少なくありません。

本来の制度趣旨は、小規模企業の役員や個人事業主の退職金積立のための制度ですが、退職金を積み立てながらしっかりと節税もできる。

もちろん注意点もありますが、経営者必見の制度ですので、是非、ご覧ください。

 

小規模企業共済の概要

小規模企業共済の概要を以下にまとめています。

なお、以下の制度概要の詳細は、独立行政法人中小企業基盤整備機構のHPでご確認願います。こちらの内容も同HPよりまとめています。

制度概要

  • 根拠立法:小規模企業共済法
  • 運営主体:独立行政法人中小企業基盤整備機構
  • 制度目的:個人事業主や小規模企業の役員の退職金積立のための共済制度
  • 共済制度:個人事業の廃業や役員の退任等の事由により共済金(解約手当金)の支払いあり
  • 共済掛金:月額1千円~7万円までを自由に選択、月払い・半年払い・年払いの選択可
  • 加入実績:全国約13万件(平成28年3月末現在)
  • 掛金の税法上の取扱い小規模企業共済等掛金控除としてその年に支出した金額が所得控除の対象

上記の図は、独立行政法人中小企業基盤整備機構のHP(「小規模企業共済の加入状況」)より抜粋しています。

独立行政法人が運営していて、これだけの加入実績もある制度ですので、信用力は言うまでなく、経営セーフティー共済と同様に安心して利用できる制度といえます。

加入資格

個人事業主の場合、業種によって、常時使用する従業員数により加入資格が定められています。

  • 建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業従業員数20人以下
  • 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)従業員数5人以下

ちなみに、この常時使用する従業員数には、家族従業員や臨時の従業員、共同経営者(2人まで)は含みません。

また、以下に該当する場合は、個人事業主であっても加入することができませんので、注意が必要です。

「共同経営者の要件を満たさない事業専従者」、「兼業で事業を行っているサラリーマン」、「学業を本業とする全日制高校生等」、「生命保険外交員等」、「中退共等の被共済者」

このため、例えば、サラリーマンとしてどこかの会社にお勤めになりながら、不動産投資を行って不動産所得の申告を行っているようなケースでは、小規模企業共済には加入することはできませんので、注意が必要です。

なお、加入要件の詳細については、独立行政法人中小企業基盤整備機構のHP「加入資格」をご参照ください。

共済金(解約手当金)

  • 共済金の計算方法:基本共済金(いわゆる掛金部分)+付加共済金(いわゆる運用収入等)(以下参照)
  • 受取方法:一括、分割、一括と分割の併用のいずれかを選択(ただし一部要件あり)
  • 請求事由:個人事業主の廃業、任意解約など(以下参照)

共済金の計算方法は、掛金の納付月数と請求事由により大きく変わってきます。

まずは、個人事業主の共済金の請求事由から確認します。

上記の表は、独立行政法人中小企業基盤整備機構のHP(「共済金(解約手当金)について」)より抜粋しています。

それぞれの請求事由によって、支給される共済金の種類が異なり、独立行政法人中小企業基盤整備機構のHP(「共済金(解約手当金)について」)に、以下のとおり、共済金の計算の一例が記載されています。

ここで注意していただきたいことは、掛金の納付月数が240か月(20年)未満となると、共済金の額は掛金を下回ってしまうという結果になります。

なお、具体的な共済金の算定方法、解約手当金の算定方法は、ホームページ等よりご確認ください。

 

使い勝手が良い節税対策と言われる理由

同じ独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している経営セーフティー共済と同様に、節税対策として使い勝手が良いと言われる理由を説明いたします。

年払いが可能

その年の所得控除の対象となる金額は、その年に支払った掛金の金額です。

ということは、1月から9月までは毎月7万円を支払っていて、10月からの分は年払いで84万円を年内に一気に支払ったという場合の所得控除はいくらになるでしょうか?

答えは、7万円×9か月分(月払い)+7万円×12か月分(年払い)=147万円(21か月分)となります。

このため、まだ小規模企業共済に加入していない方でも、これから年払いを実施することで、84万円の所得控除が可能になります。当然、月払いと組み合わせれば、それ以上の金額も可能です。

もちろん、年内に掛金の支払いが完了することが大前提にはなりますが。

年の途中での「掛金変更」や「年払いから月払いへの変更」も可能

今年は、事業が好調だから掛金を増額しようというケースばかりではなく、事業の調子が悪いから掛金の負担を減らしたいということもあるでしょう。

その時には、年払いにしていたものを月払いに変更したり、掛金を最低の1千円にすることで、負担を大きく減らすことができます。

もちろん、そのための手続きが必要になりますので、手続きについてはHPをご確認ください。

 

加入を検討する上での注意点

ここまでは、メリットのお話ばかりでしたが、当然、加入にあたっては、デメリットも検証したうえで、加入したいものです。

任意解約をしてしまうと一時所得になる

よく誤解されることですが、小規模企業共済の節税効果を考える場合、掛金が所得控除の対象になることではありません。

将来、共済金を受け取った場合には、受取方法などによって、退職所得や一時所得、雑所得として課税されることになります。

この受取方法を退職所得や雑所得とすることで、これらの所得の計算方法による節税メリットを享受することになるのです。

このため、資金繰りの都合等により、任意解約を行ってしまったような場合は、一時所得として総合課税の対象となるため、その効果は、退職所得や雑所得とされる場合に比較して、薄れてしまうことになります。

共済金の受取方法による税法上の取り扱いは、独立行政法人中小企業基盤整備機構のHPをご確認ください。

解約までの資金繰りに気を付ける

小規模企業共済の掛金については、全額が所得控除の対象になりますが、掛金と同額の税金が減るわけではありません。

もし、月額7万円の掛金を継続して支払った場合、その年の所得控除は84万円となりますが、その年の所得税率が20%、住民税率が10%と仮定すると、84万円×30%=25.2万円の納税負担が軽減されることになります。

これを資金的に見てみると、84万円の掛金を支払い、25.2万円の納税負担の減少となるため、差額の58.8万円がお金の持ち出しとなってしまうということを考慮する必要があります。

もし、将来的に資金繰りで行き詰ってしまい、解約を検討する場合、20年以内の請求では、元本割れとなってしまいますし、任意解約を行うと一時所得となり節税効果も薄れることから、資金繰り面には充分な注意が必要と言えます。

短期解約は元本割れのリスクあり

上記のとおり、20年以内の請求となると、元本割れとなってします。

年払いの翌年以降

小規模企業共済の場合、年払いの手続きを行うと、翌年以降も年払いが継続されることになります。

経営セーフティー共済では、年払いで支払ったとしても、翌年に何も手続きをしなければ、自動的に月払いに移行することなりますので、この点が違いとなります。

もし、月払いに変更する場合は手続きが必要となりますので、ご注意願います。

 

まとめ

私たち税理士もほとんどの方が加入している小規模企業共済。

個人事業主にとっては、最もメジャーな節税対策だという専門家もいるほど、有名な制度です。

もし、個人事業主の方で加入していない方がいる場合は、デメリットも考慮しつつ、加入の検討をしてみてはいかがでしょうか。

 

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