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知れば知るほど奥が深い医療費控除(医療費控除の活用)

 
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前回の寡婦控除に比べれば、医療費控除は超メジャーですし、流石に間違いませんよね。

教えて君

いやいや、意外に知ってそうで知らないのが医療費控除なんだよ。今日は、医療費控除をつっこんでみてみよう。

ベテラン先生

医療費控除って、身近なようで、まだまだ一般的に知られていないようなことも多々あります。

確定申告の相談会などで、毎年、「へぇ~。そうだったの。」と言われるのが、この医療費控除。

今日は、知ってそうで知らない医療費控除の取り扱いをご紹介したいと思います。

 

医療費控除の概要

改めて、解説するまでもないくらいにメジャーな制度ではありますが、簡単に解説したいと思います。

医療費控除の概要

一年間の間に、自分、そして、自分と同一生計の親族のために一定の金額の医療費を支払った場合に、所得控除を受けることができる制度です。

なお、「同一生計」の考え方は、こちらの記事をご参照ください。

医療費控除の対象となる医療費の要件

  • 自分か自分と同一生計の親族に支払った医療費であること
  • その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費であること

上記は、国税庁タックスアンサー「医療費を支払ったとき(医療費控除)」より抜粋していますが、今回は、もう少し踏み込んでみたいと思います。

実は、所得税基本通達に医療費控除の対象となる医療費の範囲が定められており、医療費控除を理解するために、とても重要になりますので、抜粋したいと思います。

次に掲げるもののように、医師、歯科医師、令第207条第4号《医療費の範囲》に規定する施術者又は同条第6号に規定する助産師(以下この項においてこれらを「医師等」という。)による診療、治療、施術又は分べんの介助(以下この項においてこれらを「診療等」という。)を受けるため直接必要な費用は、医療費に含まれるものとする。(平11課所4-25、平14課個2-22、課資3-5、課法8-10、課審3-197、平19課個2-11、課資3-1、課法9-5、課審4-26改正)

(1) 医師等による診療等を受けるための通院費若しくは医師等の送迎費、入院若しくは入所の対価として支払う部屋代、食事代等の費用又は医療用器具等の購入、賃借若しくは使用のための費用で、通常必要なもの

(2) 自己の日常最低限の用をたすために供される義手、義足、松葉づえ、補聴器、義歯等の購入のための費用

(3) 身体障害者福祉法第38条《費用の徴収》、知的障害者福祉法第27条《費用の徴収》若しくは児童福祉法第56条《費用の徴収》又はこれらに類する法律の規定により都道府県知事又は市町村長に納付する費用のうち、医師等による診療等の費用に相当するもの並びに(1)及び(2)の費用に相当するもの(所得税基本通達73-3より抜粋)

つまり、医療費控除の対象となる医療費とは、治療や診療、施術のために必要でなくてはならないということです。

私たち税理士も基本的には、この大原則を判断基準の一つとしています。

そう考えると、治療に関係のない、単なる予防のための費用(例えば、疲労回復のための栄養ドリンク購入代金など)なんかは、医療費控除の対象にはならないと判断できるわけです。

医療費控除の対象となる金額

医療費控除の金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。
(実際に支払った医療費の合計額-(1)の金額)-(2)の金額

(1) 保険金などで補填される金額

(例) 生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など

(注) 保険金などで補填される金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。

(2) 10万円

(注) その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等5%の金額(国税庁タックスアンサー「医療費を支払ったとき(医療費控除)より抜粋」

セルフメディケーション税制

セルフメディケーション税制については、こちらのお役立ち記事で解説していますので、ご確認いただければと思います。

 

医療費控除の知られていないこんなルール

これまでに様々な方から質問を受けてきたことを中心に、案外知られていないと感じるものを以下にまとめてみました。

ちなみに、これらを判断するにあたり、医療費控除の大原則である「治療や診療、施術のために必要」かどうかという点を基準として考えてみると分かりやすいと思います。

メガネやコンタクトレンズ、レーシック手術は対象?

治療を受けるために直悦必要とならないような、単なる近視用や乱視用の眼鏡やコンタクトレンズは、医療費控除の対象とはなりません。

つまり、メガネやコンタクトレンズの購入のほとんどのケースでは、医療費控除の対象にはなりませんが、治療を受けるための治療用のメガネなどは対象になることがあります。

一方で、レーシック手術。

こちらは、視力回復のための手術となりますので、医療費控除の対象となります。

当然ですが、手術にあたって、保険金が支給された場合には、手術代金から保険金を差し引いた金額が医療費控除の対象となりますので、注意が必要です。

人間ドックや健康診断は対象?

健康診断や人間ドックは、所得税基本通達に定めがあります。

いわゆる人間ドックその他の健康診断のための費用及び容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどのための費用は、医療費に該当しないことに留意する。ただし、健康診断により重大な疾病が発見され、かつ、当該診断に引き続きその疾病の治療をした場合には、当該健康診断のための費用も医療費に該当するものとする。(所得税基本通達73-4より抜粋)

これによると、単なる人間ドックや健康診断の費用は、治療のためのものではありませんので、医療費控除の対象にはなりません。

ただし、その人間ドックで病気が発見されて、引き続き治療を行ったようなケースでは、例外的に、病気が見つかるきっかけとなった人間ドックや健康診断の費用も医療費控除の対象にすることができるということです。

ほとんどの方が健康診断の費用は医療費控除の対象ということで、領収書に含めておられますが、実は、これららは医療費控除の対象にはならないということです。

病院までのタクシー代は対象?

こちらは、先ほどの所得税基本通達をもう一度見てみましょう。

次に掲げるもののように、医師、歯科医師、令第207条第4号《医療費の範囲》に規定する施術者又は同条第6号に規定する助産師(以下この項においてこれらを「医師等」という。)による診療、治療、施術又は分べんの介助(以下この項においてこれらを「診療等」という。)を受けるため直接必要な費用は、医療費に含まれるものとする。(平11課所4-25、平14課個2-22、課資3-5、課法8-10、課審3-197、平19課個2-11、課資3-1、課法9-5、課審4-26改正)

(1) 医師等による診療等を受けるための通院費若しくは医師等の送迎費、入院若しくは入所の対価として支払う部屋代、食事代等の費用又は医療用器具等の購入、賃借若しくは使用のための費用で、通常必要なもの

(2) 自己の日常最低限の用をたすために供される義手、義足、松葉づえ、補聴器、義歯等の購入のための費用

(3) 身体障害者福祉法第38条《費用の徴収》、知的障害者福祉法第27条《費用の徴収》若しくは児童福祉法第56条《費用の徴収》又はこれらに類する法律の規定により都道府県知事又は市町村長に納付する費用のうち、医師等による診療等の費用に相当するもの並びに(1)及び(2)の費用に相当するもの(所得税基本通達73-3より抜粋)

公共交通機関の通院費は認められますが、タクシー代については、急を要するときや、足の骨折などでどうしてもタクシーでないと通院できないときに限られますので、便利のためにタクシーに乗って通院してもそれは認められません。

また、よく勘違いするところですが、マイカーのガソリン代や駐車場代も認められませんので、ご注意ください。

年末にクレジットカードで支払ったらどうなる?

医療費控除は、その年に支払ったものが対象となりますが、例えば、12月にクレジットカードで支払って、利用代金が引き落とされるのは来年の1月というケース。

これはどうなるのでしょうか?

答えは、引き落としのタイミングではなく、カードを使ったタイミングで判定しますので、この例では、カードを使った12月に支払ったものとして、医療費控除を適用することになります。

腰痛の悪化で整体に行ったらどうなる?

医療費控除は、医師や歯科医師の他に、このようなところでの施術費用が含まれます。

四 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律 (昭和二十二年法律第二百十七号)第三条の二 (名簿)に規定する施術者(同法第十二条の二第一項 (医業類似行為を業とすることができる者)の規定に該当する者を含む。)又は柔道整復師法 (昭和四十五年法律第十九号)第二条第一項 (定義)に規定する柔道整復師による施術(以下省略)

(所得税法施行令第207条より一部抜粋)

あん摩マッサージ指圧師やはり師、きゅう師、柔道整復師などが定められており、これらには該当しないカイロプラティックや整体師などの行う施術は医療費控除の対象にはなりませんので、注意が必要です。

ただし、整体師などの施術でも、医師が治療の一環として指示したものであれば、医療費控除の対象となる場合もあります。この場合、念のため、記録を残しておくことをお勧めします。

つまり、単なる疲労回復や体調を整える目的での利用は対象外、医師の指示に基づくものであれば対象というような考え方になります。

こんな費用はどうなる?

上記以外のものを色々と羅列してみました。

ただし、あくまで一般的なケースで考えていますので、それぞれの方のそのときどきの個別事情によって、認められなかったり、認められたりすることも考えられますので、ご注意願います。

この辺りは、税理士さんに相談の上でご対応願います。

  • 育毛剤の購入代金:×
  • 家庭用の医学の本の購入代金:×
  • 自由診療でのインプラント治療代金:〇(美容のためは×)
  • 美容整形:×
  • 妊婦の検診費用:〇
  • 薬局で購入した化粧品代:×
  • 松葉づえの購入代金:〇
  • 筋肉痛のシップ代:〇
  • 入院中の散髪代:×
  • 寝たきり状態の場合のおむつ代:〇(医師が発行したおむつ証明が必要)
  • 海外旅行中の診療代金:〇
  • 歯科ローンの金利:×
  • 診断書作成代:×
  • 同一生計でない親族の治療代:×

あくまで、治療や診療のためのものかという原則論と、個別事情を勘案の上で、判断する必要があります。

悩ましいものは、必ず、税理士さんと相談するようにしてください。

 

まとめ

医療費控除はとてもメジャーな制度で、ご自身で申告をされているというかたも山ほどいらっしゃいます。

しかし、知られているようで、まだまだ知られていないようなルールも存在しますし、間違って理解しているルールもあったりします。

毎年の確定申告の相談会の場面では、病院までの公共交通機関の交通費も医療費控除の対象として含めてよいということに、毎年何人もの方が驚かれています。

顧問税理士がいる場合を除いて、こういったことは、知らないと損をするだけで、誰かが教えてくれるわけではありません。

是非、次回からの確定申告のご参考になればと思います。

 

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