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実は気付かず申告していることも多い寡婦控除(寡夫控除)という所得控除(寡婦控除(寡夫控除)の活用)

 
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創業や経営支援分野に注力している税理士事務所です。税理士としては珍しい大手金融機関で融資実務を経験したキャリアを持ちます。どんな些細なことでも相談していただけるように丁寧な対応を心掛けています。
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所得税の確定申告ってたくさんの規定があるので、大変ですよね。

教えて君

本当にそうだね。うっかりと税金を多く払いすぎても誰も教えてくれないからね。

ベテラン先生

本当にそれは怖いですね。逆に、うっかり税金を少なく払ってしまったら、こっぴどく叱られますもんね。

教えて君

それでは、今日は、基本的なものでも、意外に漏れやすいというものを紹介しよう。

ベテラン先生

確定申告は、収入が漏れていた場合には、税務署から厳しい指摘を受けることになりますが、逆に、適用できる控除があったとしても、自分で気づかなければ、誰もその漏れを教えてくれるということはありません。

そして、これまでの経験上、高い割合で漏れていると感じてきたのが、これからご紹介する寡婦控除(寡夫控除)です。

以下の記事をご一読いただき、是非、ご自身の申告もチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

寡婦控除(寡夫控除)とは

所得控除は、納税者の生活背景や諸事情に配慮してくれる優しい制度です。

例えば、お馴染みのこのような制度が非常にわかりやすいのではないかと思います。

  • 入院をして医療費が多くかかってしまった → 医療費控除
  • 扶養する家族がいる → 扶養控除

そして、今回ご紹介する寡婦控除(寡夫控除)とは、配偶者と離婚や死別ををした方が対象となる所得控除になります。

 

寡婦控除の適用要件

手続きはものすごく簡単な反面、実は、この適用要件の理解が難しいので、注意が必要です。

また、寡婦と寡夫とでも若干の要件の違いがありますので、その点もご注意ください。

寡婦控除の適用要件

次のいずれかに該当することが要件となります。

【適用要件】

  • 夫と死別又は離婚して再婚していない方で、同一生計の子供か扶養親族がいる場合
  • 夫と死別して再婚していない方で、本人の合計所得金額が500万円以下の場合

上記のとおり、死別と離婚の場合で、要件が異なりますので、注意が必要です。

また、その後、その年の年末までに再婚している場合は、この規定を適用することはできません。

ご主人に先に先立たれた方や、シングルマザーの方などが控除を受けれる可能性があるということですね。

詳細は、国税庁タックスアンサー「寡婦控除」で確認することができます。

特定の寡婦に該当する場合

上記の寡婦控除に該当する方が、次の要件のすべてを満たすときは、特定の寡婦に該当することになり、所得控除額が通常の場合と比較して大きくなります。

【適用要件】

  • 夫と死別又は離婚してから再婚していない
  • 扶養親族である子供がいる
  • 本人の合計所得金額が500万円以下である

再婚していない場合で、扶養する子供もいて、所得も一定の金額以下であれば、さらに、控除額が増えることとなります。

年収が高額ではない、シングルマザーの方を支援するという政策的な意図からだと考えられます。

所得控除額と節税額の目安

所得控除額は、以下のとおりとなります。

  • 寡婦控除:27万円
  • 寡婦控除(特定の寡婦に該当する):35万円

節税効果としては、例えば、年収400万円の給料収入のみがあると仮定すると、

  • 寡婦控除の節税効果:約4万円(住民税含む)
  • 寡婦控除(特定の寡婦に該当する)の節税効果:約5万円(住民税含む)

上記くらいの節税効果が目安となります。

知っているのと知らないのとでは、これだけの差が出てきますので、注意が必要です。

 

寡夫控除の適用要件

次は、寡夫のご説明となります。

ちなみに、寡婦と比べて、寡婦の方が適用要件は厳しくなっており、寡夫の場合は、特定の寡夫というものは存在しませんので、注意が必要です。

寡夫控除の適用要件

次の全てに該当することが要件となります。

【適用要件】

  • 本人の合計所得金額が500万円以下であること
  • 妻と死別又は離婚して再婚していない
  • 同一生計の子供がいること

寡婦との違いは、所得要件も同一生計の子供の要件も両方満たす必要があるということです。

詳細は、国税庁タックスアンサー「寡夫控除」で確認することができます。

所得控除額と節税額の目安

所得控除額は、以下のとおりとなります。

  • 寡夫控除:27万円

節税効果としては、例えば、年収400万円の給料収入のみがあると仮定すると、

  • 寡夫控除の節税効果:約4万円(住民税含む)

上記くらいの節税効果が目安となります。

 

寡婦控除(寡夫控除)の手続き

実は、この所得控除は事前に書面を提出したりする必要は一切ありません。

確定申告や年末調整の際に所得控除を適用するだけです。

ですので、手続きのわずらわしさは一切ありません。

 

合計所得金額とは?その目安は?

さて、適用要件で出てきた「合計所得金額」という考え方ですが、非常に複雑な考え方となっており、まずは、国税庁のホームページから抜粋します。

「合計所得金額」とは、純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失、特定居住用財産の譲渡損失、上場株式等に係る譲渡損失、特定投資株式に係る譲渡損失及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除を適用する前の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等の配当所得(上場株式等に係る譲渡損失との損益通算後の金額)、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額、退職所得金額の合計額をいいます。(国税庁タックスアンサー「寡婦控除」より抜粋)

さすがにこれだけではわかりませんので、お勤め先からの給与収入のみがある場合、そして、公的年金の収入のみがある場合とで分けて、おおよその目安額を記載しておきます。

他に収入があったりする場合や、特殊なケースは該当しませんので注意願います。

また、この詳細につきましては、専門家に確認するか、ご自身でご確認の上で、ご対応願います。

お勤め先からの給与収入のみがある場合

給与所得の計算式は、以下のとおりとなります。

給与所得 = 年間の給与収入の合計額(賞与含む、いわゆる年収) - 給与所得控除額

あくまで、目安ではありますが、年収が688万円未満の場合に合計所得金額が500万円以下に該当することになります。

公的年金の収入のみがある場合

雑所得(公的年金)の計算式は、以下のとおりとなります。

雑所得(公的年金 = 年間の年金収入の合計額 - 公的年金等控除額

あくまで、目安ではありますが、年間の年金収入が680万円未満の場合に合計所得金額が500万円以下に該当することになります。

 

まとめ

冒頭の話ですが、仮に寡婦控除(寡夫控除)の要件をクリアしていたとしても、自分で確定申告や年末調整をして控除の適用を行わないと、誰も指摘してくれることはありません。

もちろん、税理士に頼んでいれば、確認してくれることと思われますが、専門家に頼んでいても漏れやすいのがこの控除です。

特に、年に一度、申告だけを頼んでいるというようなケースでは、家族背景などを含めて、税理士と蜜なコミュニケーションをとっていないことも考えられます。

そうなると、漏れる可能性も出てきますので、こういった控除があるということだけでも、頭の片隅に置いておいていただければ、きっとメリットがあるのではないでしょうか。

 

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