【保存版】税理士本人が顧問税理士の選び方を考えてみました

「税理士を選ぶときにはどんなことに気を付けたらいいの?」
こんな質問をお受けすることがあります。
私自身は、身近な顧問税理士の選び方というのは、身近なかかりつけ医の選び方に通じるところがあると感じおり、上記のような質問に対してはいつもそのような話をしています。
今回は、身近な顧問税理士の選び方について、税理士である私自身が特に感じていることを書いてみたいと思います。
目次
特に大切だと感じるのは2つ
一般的に税理士を選ぶ際に気になる点としては、以下のような点でしょうか。
- 顧問料(値段)
- 業務範囲(どこまでやってもらうのか)
- 担当の税理士の年齢やキャリア
- 大手事務所か個人事務所か
- 自社からの距離が近いか遠いか
- 年間の訪問回数・面談回数の目安は
- 訪問するのか、来社してくれるのか
確かに上記のいずれも重要なことではありますが、もし私自身が顧問税理士を選ぶのであれば、特に重視したい点が2つあります。それは、以下の2つです。
- 人間として気が合いそうかどうか(相談しやすいか)
- 苦しい時に全力で力になってくれそうかどうか(信頼できそうか)
とてもあいまいで、直感的なものではありますが、この2つは、とても重要だと感じています。
税理士の選び方とかかりつけ医の選び方に通じること
冒頭でも書かせていただきましたが、私自信は、身近な顧問税理士の選び方は、かかりつけ医の選び方に通じるところがあると感じており、まずは、こちらをご紹介させていただきます。
この人に任せておけば大丈夫という感覚
これは私自身の体験談ですが、数年前に健康診断でとある項目にひっかかり、(再検査の結果全くの異状はなかったのですが、)再検査を受けることになった時の話です。
一応、家から通える距離のクリニックをインターネットで検索し、そのクリニックのホームページを見たり、評判なんかを見たりして、通院する病院を決定。
実は、私自身は、これまでに病院に行くと言えば、親知らずを抜きに歯医者さんくらいのもので、なんとなく抱いていた病院のイメージというと、
- とにかく長時間待たされる
- 診察は数分で終わり細かいは説明ない
- 不安があっても相談できるような雰囲気がない
- 先生が忙しそうで、少しこわいイメージ
- 結局自分では症状の理由などもよく理解できない
という感じで少し憂鬱な気分でした。(日々、親身にご対応されている先生方には大変申し訳ありません。あくまで今まで抱いていた漠然としたイメージということでお許しいただければ…。)
しかし、実際に通院してみると、驚くくらいに親身に相談にのってくれて、気になるなら検査も細かいところまで見てみようかということで、時間をかけて丁寧に対応してくれたことを覚えています。
一人の患者のためにこんなに時間を使っても良いのだろうかと申し訳ない気もしましたが、この時以来、何かあればこの先生と決めています。
腕の良し悪しなんて判断できるものではない
確かに、世界で数例レベルの難解な手術を経験されたなどの実績から、この分野はこの先生だといういわゆる名医と言われる先生もいらっしゃるはず。
しかし、普段、医療に深く関わることのない私たちの立場では、お医者さんの腕の良し悪しなんて判断できるものではありませんし、また、身近なかかりつけ医を選ぶ際にはもっと大切な視点があるはず。
個人的には、どんな些細なことでも相談できて親身に話を聞いてくれそうか、そして、困ったことが起きてもその先生に相談すれば何とかしてくれそうだという信頼感を持てそうかどうかということが重要だと感じています。
もし、将来、そのクリニックでは対応できないような病気が見つかったとして、仮にその先生で対応できない場合でも、先生の紹介でベストな病院や別のお医者さんをご紹介してくれるはずという信頼であったり、安心感もあります。
これはまさに、身近な顧問税理士を選ぶときだって同じはずだと感じるのです。
一つだけ、注意事項も書かせていただきます。
例えば、医者の世界でもあまり例がない難病ともなれば、その専門の先生にかかるように、税務の世界でも国際課税や組織再編などあまり例がない難解な分野ともなると、その選び方の視点は変わってきます。今回は、身近な顧問税理士の選び方だとお考えいただければ幸いです。
人間として気が合いそうかどうか(相談しやすいか)
病気に不安を感じてお医者さんに相談するのと同じように、税金のことに不安を感じて税理士に相談することは多いはずです。
その不安を解消してもらうためには、まずは、その税理士さんがどんな些細なことでも相談できる存在であるかどうか、そして、その不安に対して親身に対応してくれるかどうかが重要だと感じます。
顧問税理士というのは、お金のことや家族のことまで、とにかく深いところまで相談する相手ですので、やはり、本質的に気が合わないと相談もしにくいものです。
また、顧問税理士との関係が以下のような感じであれば、それは、きっと残念なことだと感じます。
- こんなこと相談したら怒られそうだ…
- 何回も同じことを聞きにくい…
- どうしても気になることがあるけど、電話して聞いても良いものか…
- 忙しそうだし連絡するのも億劫だ…
普段からコミュニケーションを大切にして、どんな些細なことでも親身に対応してくれる税理士さんと出会えれれば、非常に心強いものだと感じます。
苦しい時に全力で力になってくれそうかどうか(信頼できそうか)
私たち税理士の仕事は、お客様の大切な局面での意思決定に関わることが多い仕事だと言えます。
例えば、
- 個人事業を創業する
- 法人を新しく立ち上げる
- 事業を子供に承継する
- 事業が苦しい時の資金繰りを相談する
- 家族の相続税申告をお願いする
- 自宅の購入や売却を相談する
- などなど
こういった局面の中でも、特に自分自身が苦しい状況のときこそ、親身に対応してくれそうか。これは非常に重要な視点だと感じます。
個人事業主や中小企業にとっての顧問税理士というのは、自分の家族構成から事業の内容、個人資産まで、とにかく細かいところまで把握してくれている存在なはずです。
おそらく、何かあった時に相談するのは顧問税理士さんということが多いはず。
チャンスが巡ってきているときなんかは良いのかもしれませんが、重要なのは、ピンチの時にこそ力になってくれそうかどうか。
そして、そう思えるような信頼関係をこの先築いていけそうかどうかというのは、非常に大切な視点だと感じています。
税理士選びで税理士と面談する場合に確認しておきたいこと
これまで、長々と税理士選びで大切にしたい視点のはなしをしてきましたが、とはいっても、全国に8万人弱も税理士がいるわけで、どうやってそんな税理士を探していくのかという問題があります。
最近では、ホームページやブログ、ツイッター、フェイスブックなどでその税理士の個人的な考え方などを知る機会もありますので、一定の参考にはなるかと思います。
ただ、やっぱり、会って話してみないことには判断はできないでしょう。
その際には、以下のようなことは確認しておきたいところです。
- 誰が自分の窓口担当になってくれるのか
- 担当が変わってしまうこともあるのか
面談の際には、所長先生やベテランの税理士が面談をするものの、いざ、仕事が始まると窓口となるのは別の従業員ということも多いと言えます。
いくら、ベテランの税理士さんも一緒に担当すると言っても、毎回一緒に対応してくれるわけでもなく、普段の窓口は別の従業員ということもありますので、この点は確認しておいた方が良いでしょう。
また、従業員の退職や事務所内のローテーションで担当が変わるということもありますので、この点も念のため確認しておくべきことかと感じます。
せっかく面談の際に、税理士さんと話をしてみて、この方が良いと感じても、実際にはうちの窓口担当ではないということにならないように、このようなことを事前に聞いてみると良いのではないでしょうか。
まとめ
基本的には、税理士とのおつきあいは、事業が続く限りの長いお付き合いになります。
また、税金の申告を頼むということは、会社や個人のお財布の中をオープンすることになりますし、場合によっては、いつかは、自分や家族の相続税申告も頼まなくてはならない人。それが税理士です。
当然、お付き合いは長くなるし、プライベートなことにまで踏み込んだ話もしなくてはならないので、なんだか気が合わない人であったり、どうにも信頼できそうにない人ということであれば、それはもう苦痛でしかありません。
お金を払って税理士を雇っているのに、税理士と会うたびに苦痛に感じるというのは不幸なことです。
税理士という仕事柄、顧問先様とのコミュニケーションが非常に重要になってきますので、うまくコミュニケーションが取れないとなると、やはり仕事のパフォーマンスにも悪い影響が出てくるでしょう。
だからこそ、自分と気が合ってなんでも相談しやすく、親身に対応してくれて信頼できる人に任せてしまうということが大切なんだろうと感じています。
あくまで、個人的な意見ではありますが、是非、身近な顧問税理士選びのご参考になれば幸いです。