各国の税金に対する考え方が面白いという話と、成功する経営者の税金に対する意識

税理士会の行事で、小学生や中学生に税金の授業を行う「租税教室」に参加したことで、普段は絶対に読まないだろう本と出合ってとても良い経験が出来ました。
今日は、最近読んだ本の話と、税金に対する考え方について感じることを書いてみます。
目次
吹田市内の中学校に訪問して「租税教室」を行いました
税理士として独立する前から、税理士として参加できる行事ごとには、積極的に参加しようと思っていました。
例えば、私たち税理士が小学校や中学校に訪問させてもらって、その生徒さんに税金の授業を行う「租税教室」もそのうちの一つ。
そして、この「租税教室」に初めて参加したのが、昨年の12月のことです。
吹田市内の中学校に訪問させてもらって、三年生に対して約一時間の授業をさせてもらったのですが、間違いなく、勉強をさせてもらったのは、私の方でした。
そういえば税金のことについて考える機会って…
この「租税教室」を行うするにあたっては、税理士会の方で準備した授業用の教材が何パターンかあるわけですが、どのような授業の組み立てをするかは、ある程度、講師である税理士の裁量にもゆだねられます。
僕自身は、初めてということもあり、ほぼモデルテキストの内容に沿って、こんなことを話してみました。
- 税金はなぜ必要なの?
- 税金を公平に集めるってどういうこと?
- 税金を公平に使うってどういうこと?
- 税金から見た民主主義って?
- 日本の財政と課題
公平に税金を負担すると言っても、その公平の考え方は人それぞれ違うでしょうし、もちろん、税金の活用についても同じ話です。
税金の負担は、租税法律主義という考え方の下で、私たちの代表である国会議員によって議会で成立した法律のもとでなければ負担を求めてはならないことになっています。
そして、税金をどのように活用していくかだってそう。
税金のことは難しいからと、専門家に任せてしまうのではなく、選挙を通じて自分の考えを反映していこう。そうしないと、回り回って最終的には自分に跳ね返ってくるよみたいなことを話したわけですが、自分で話しながら本当にそうだなぁと。
自分自身も普段どこまで意識できているかと思うと、恐ろしくなるくらいです(汗)
日々、税の実務のことについては、朝から晩まで嫌というほど考えているわけですが、こういった大きな視点に欠けていたなぁということに気付かされます。
私たちはなぜ税金を納めるのか
そんなことを考えながら本屋でフラフラしているときに見つけたのがこの本です。
大学の先生が書いた本で、正直、小説のようにさらっと読める本ではありませんでしたが、とっても興味深くて、今年一番の当たりの本だったかもしれません。
内容は、イギリス、ドイツ、アメリカの歴史と当時の思想を追いながら、各国の租税観を記しています。
例えば、イギリスでは市民革命、アメリカは南北戦争の時代までさかのぼります。こういった重要な出来事の中で、租税制度がどのように導入されるに至ったかという背景を丁寧に説明してくれています。
市民革命なんて大昔の話だとはいえ、こういう国家にとって重要な出来事に関しては、何十年、何百年たってもそのときの思想はその国の国民に受け継がれていくものだろうと感じます。
イギリスでは、市民革命を通じて、これからの自分たちの国を作っていくために必要な資金をみんなで負担していこうという、いわば納税を権利として勝ち取ってきた歴史があるということが書かれていました。これは本当に興味深いですね。
一方で、日本は市民革命を経験したわけでもなく、租税制度は国民が勝ち取ったものというよりはお上から導入された制度なので、どうしても、税金は払わせられるものという感覚が強いともこの本には書かれており、そういう意味ではイギリスのような感覚は私たちにとっては理解しがたいことかもしれません。
お金を残したいなら税金と向き合うしかない
普段、実務をしていると、経営者に「税金は払わされるもの」、「税金は悪」みたいな感覚が強すぎると、間違いなく事業にとってはマイナスに働くというのが正直な意見です。
それはなぜかというと、この感覚が強すぎると、手元にお金を残しにくいということです。
適正に利益を出して、適正な節税(優遇税制の活用など)を組み込みながら、一定水準の納税を行う。
お金をお残していきたいと考えるのであれば、この考え方は非常に重要です。
そんなわけで、こういったことを分かりやすく説明させてもらうことも重要なことだと感じています。
損益も大切ですが、事業の中でお金がどのように流れているのか?、お金の増減の理由は?、そんなことをどうやったら分かりやすく説明できるのか、どんな資料を使えば分かりやすいかということを日々考えてしまいます。
まとめ
租税教室の話から各国の租税観、そして、手元にお金を残すためにはみたいな話まで、色々と話が飛んでしまいました(汗)
ただ、繰り返しになりますが、事業を成功させるためには、経営者が「税金に対する正しい考え方を持つ」ということはとても重要なことだと感じます。
だからこそ、税金のことを少しでも分かりやすく、そして、身近に感じてもらえるように努力をしていくことも私たち税理士の大切な仕事なのではないかと感じています。
今日の日記
GWは暦通りで1日と2日は事務所に行きましたが、今日からは事務所には出社せず、一応はお休みということになります。
とはいえ、この時期は、確定申告時期に次ぐ繁忙期のため、夜はコツコツ仕事を進める予定です。
日中は出来るだけ娘と遊んで、夜にコツコツと。
特に旅行など、どこかに行く予定はありませんが、とりあえず、明日はお弁当でも買って近くの大きな公園に行こうかと思います。
さてさて、ブログ。今月からは、とりあえず、週2回更新を守りたいと思います(汗)