社内割引制度を導入している会社は必読。割引率は何%にするのが良い?

従業員には自社の製品のことをもっと知ってもらいたいですし、頑張る従業員に報いたいという気持ちもあって、社内割引制度を導入したいと思います。
若手社長くん
従業員に報いたいという気持ちは素晴らしいね。けど、制度設計に気を付けないと、従業員に迷惑をかけることもあるんだよ。
ベテラン先生
なぜ、従業員に迷惑をかけることになるのですか?
若手社長くん
あまりに安く販売したりすると、実質的な給与として、従業員側が給与として課税されることもあるんだよ。
ベテラン先生
創業間もない若い会社ほど、こういった制度を積極的に導入しているように思われます。
頑張る従業員に少しでも報いたいと思う若い経営者は本当に多く、そんな経営者の想いが従業員に通じることで、創業間もない不安定な会社であっても従業員の定着率が高いなんてことも。
さて、一方で、社内割引制度は制度設計を間違えると、会社にとっても従業員にとっても困ったことになります。
今日は、社内割引制度について、税務的な取り扱いをご説明します。
目次
社内割引が問題にならないケース
自社の製品や商品を値引きして販売する場合の取扱いについて、こんな通達がありますので、確認してみましょう。
使用者が役員又は使用人に対し自己の取り扱う商品、製品等(有価証券及び食事を除く。)の値引販売をすることにより供与する経済的利益で、次の要件のいずれにも該当する値引販売により供与するものについては、課税しなくて差し支えない。(昭51直所3-1、直法6-1、直資3-1改正)
(1) 値引販売に係る価額が、使用者の取得価額以上であり、かつ、通常他に販売する価額に比し著しく低い価額(通常他に販売する価額のおおむね70%未満)でないこと。
(2) 値引率が、役員若しくは使用人の全部につき一律に、又はこれらの者の地位、勤続年数等に応じて全体として合理的なバランスが保たれる範囲内の格差を設けて定められていること。
(3) 値引販売をする商品等の数量は、一般の消費者が自己の家事のために通常消費すると認められる程度のものであること。
(注) 食事については、36-24、36-38及び36-38の2参照(国税庁HPより抜粋)
自社の商品や製品を割引して販売するということは、言い換えれば、割引分だけ実質的にお給料をもらっているのと同じことですので、本来はお給料として課税されることになります。
しかし、この通達で上げられているように、一定の要件を満たせば敢えてお給料として課税しなくても良いということになります。
給与として課税されない要件
給与として課税されないための要件は、通達の通りなのですが、誤解を恐れずかみ砕いてお伝えすると、以下のようなことになります。
- 原価以上、かつ、定価の70%以上で販売していること
- 割引率は従業員一律。ただし、勤続年数などによる合理的な格差はOK
- 自分で使う程度の販売量であること
注目すべきは、割引率は30%が限界ということですね。もちろん、原価割れしないことが必須です。
また、3つ目の自分で使う程度の販売量であることとは、社内割引で安く仕入れて転売して儲けるようなことは駄目だということです。
要件を満たさないとどうなるか
この通達で上げられている要件を満たさないと、給与として課税されることになります。
従業員としては、給与が漏れたということになり、所得税や住民税が追加で徴収されることになりますし、会社側は源泉所得税の徴収漏れということになってしまいますので、注意が必要です。
気を付けておきたい点
この通達にはいくつか気を付けておきたい点もありますので、併せてご紹介します。
有価証券や食事は除かれている
いくら自社の商品や製品だからと言っても、有価証券や食事はこの通達の対象外となっています。
例えば、飲食店が食事を賄いとして出したとしても、この通達の取扱いはできないということです。
ちなみに、食事代については、別の通達で細かい決まりがありますので、またの機会にご紹介します。
特定の人だけを優遇する制度は駄目
役員だけを対象とするものや、親族だけ割引率を高くしているなど、特定の人だけを優遇するような制度は認められません。
割引率は、勤続年数などに応じて格差を設けることは認められていますが、合理的なものでなければなりません。
まとめ
従業員に報いたいと思う経営者の気持ちは、本当に素晴らしいことですが、制度設計を誤ってしまうと、逆に従業員や会社に迷惑をかける結果になります。
このため、慎重に制度設計を行いたいところですね。
今日の日記
今月はネスタリゾート神戸に行ってきました。
子連れの家族をメインターゲットにしているということもあり、小さな子供にやさしいサービスなんかもあったりと、妻も娘も大満足だったようです。
仕事の方も色々と新しい仕事にチャレンジしたりと充実した7月を送ることができました。
・・・。
しかし、7月中のブログの更新は今日だけ。これだけは大きな反省点ですね。