決算予測を実施していますか?節税対策を考える前にやっておきたいこと

黒字と思って節税対策をしてみたら、節税対策が必要ないくらいの赤字。そんなことが続いています。
若手社長くん
それは困ったことだね。きちんと決算予測は実施してるのかな?
ベテラン先生
いえ。ただ、頭の中でどれくらい儲かってるのか把握してるつもりです。
若手社長くん
そこだね。まずは、きっちりと決算予測から始めてみよう。
ベテラン先生
このケースと同じように、今年は大きく儲かっていると思って節税対策をしてみたら、その必要ないくらいの赤字だったということを経験した方もきっといるはずです。
実はこれは非常に怖いことなのです。
無理して節税対策をしたことが仇となり、銀行の評価を下げてしまったり、資金繰りにも影響が出てしまったりと、最悪の場合は事業の継続にも悪影響を与えかねません。
今日は、節税対策を考える前にやっておきたいことを書いてみました。
目次
そもそも、節税は何のためにやるの?
少し本題とは離れてしまいますが、何のために節税を実施するのかということをまず考えてみたいと思います。
もちろん、節税は手段であって目的ではありません。
節税をすることで、会社から出ていく支出を減らし、会社にお金を残す。そして、そのお金を活用して、事業の拡大であったりと、将来の目標に向けて進む。こういったことも正しい形の一つなのではないでしょうか。
まずは、何のために節税をするのか、その先の目的をしっかりと定めることが重要だと感じます。
また、節税を考えるのであれば、その後の資金繰りはどのように変化するのか。
ここまでセットで考えたいところです。
節税対策の前にやっておきたい2つのこと
さて、本題です。
黒字と思っていたら赤字だった。
こんなことがないようにお勧めしたいことを書いてみました。
まずは、経理のスピードを上げる
今の現時点で本当に儲かっているのか。こういったことを出来るだけリアルタイムでつかむためには、経理のスピードを上げるしかありません。
例えば、7月分の試算表が9月にならないと完成できないという会社を考えてみます。
7月の状況を9月に知ったところで、8月、9月とその後の状況が刻々と変化しています。7月は黒字だったとしても、9月時点では赤字になっているかもしれません。
このため、まずは、経理のスピードを上げて、出来るだけリアルタイムで経営状況を把握できるようにする。
まずは、こちらから取り組んでみてはいかがでしょうか。
決算前に決算予測を実施する
二つ目は決算予測の実施です。
例えば、3月決算の会社を想定し、12月までの試算表が出来上がっていると仮定します。
しかし、残りが1月、2月、3月とまだ三か月間も残っていますので、残りの三か月間で利益状況が大きく変化することだって考えられます。
そこで、この先の1月~3月の売上や経費を予測し、3月末時点ではどのように着地しているのか予測してみることをお勧めします。
もちろん、将来のことを予測するため、精度高く予測するのは難しいことです。
コツとしては、過去のこの時期の受注状況や支出状況といった過去の傾向を参考にしたり、今現在の状況を加味することで、少しずつ精度を上げることができます。
実はもっとお勧めなこともあります…
実は、もっとお勧めなことがあります。
それは、毎年、期首を迎える前に、翌期の一年間の売上や経費、利益の数値計画を月次ベースで計画として策定することです。
そうです。経営計画の策定です。
これさえあれば、わざわざ決算予測なんて行わなくても、毎月、期末時点の着地見込みを確認することができます。
例えば、3月決算の会社を想定して、5月までの試算表ができたとします。
この場合、6月以降が当初の計画通り進行すると仮定すると、その年の期末時点の着地見込みを以下のように確認することができます。
「4月、5月の実績値」+「6月以降の数値計画」=「期末時点の着地見込み」
経営計画を策定することで、常に、決算着地を意識することができ、こういった数値を活用して様々な意思決定を行うことができるため、非常にお勧めと言えます。
まとめ
試算表や決算書は税金計算を行うためだけに作成するものではないと考えています。
試算表や決算書といった会計数値を経営の意思決定に活用できることが望ましいと考えています。
このため、今後は、少しずつ、このテーマでの記事も増やしていきたいと思っています。
今日の日記
今年も今日から三日間の税理士試験がスタートしています。
早いもので、私自身は最後に税理士試験を受けてから7年ほど経過しました。
実はこの税理士試験。合格発表はなんと12月なのです。
それはもう辛くて辛くて仕方なかったことを思い出します(汗)