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この社員旅行は給与として課税される?社員旅行の取扱いをまとめてみました

 
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今年は去年に比べても相当売上が伸びています。従業員にも負担をかけているので、仕事が落ち着く秋に社員旅行を予定しています。

若手社長くん

それは楽しみだね。ただ、税務の取扱いで注意しなくてはならないこともある。

ベテラン先生

それはどういうことでしょうか?

若手社長くん

社員旅行の内容によっては福利厚生費扱いではなく、従業員の給与扱いとなってしまう。もちろん、給料扱いとなれば会社側は源泉徴収の必要も出てくるんだよ。

ベテラン先生

昔と比べれば、社員旅行を実施している会社は大きく減っているように感じます。実際に、私が新卒で入社した金融機関も社員旅行はすでに実施しなくなっていました。

一方で、従業員も含めて良い意味でアットホームな雰囲気を大切にしている若手社長の中には、バーベキューであったり社員旅行を実施して、役員・従業員の結束を高めようと意識されている方も多かったように感じます。

こういった社員旅行を企画するにあたり、「どうしても参加できない従業員には申し訳ないし一時金として渡そう。」、「少し高額になるけど、業績も良いし思い切ってヨーロッパに行ってみよう。」などいろいろと案が思い浮かぶわけですが、税務の取扱いには気を付けておきたいところです。

今回は、社員旅行を実施する場合の税務の取扱いについてご説明します。

 

今回のポイント
社員旅行の費用負担を会社が行う場合、一定の要件を満たせば福利厚生費として取り扱われますが、そうでない場合は、負担した従業員に対する給与として取り扱われます。将来的な税務調査で指摘されないように、エビデンスをしっかりと残しておきましょう。

 

社員旅行が福利厚生費とされる場合

原則的な取り扱いは給与になる

会社が従業員のために社員旅行の費用を負担してあげた場合、従業員にとっては、会社から社員旅行の費用相当額の経済的利益を受けたということになり、その経済的利益相当額は、原則としてその従業員に対する給与として取り扱われます。

しかし、一定の要件を満たすことで、給与として取り扱わないということを定めた通達がありますので、ご紹介します。

 

例外的に一定の要件を満たせば福利厚生費になる

社員旅行に限らず、バーベキューや球技大会などのレクリエーションに関する費用を会社が負担した場合の取扱いを定めている通達があります。

 

36-30 使用者が役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、使用者が、当該行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。)に対しその参加に代えて金銭を支給する場合又は役員だけを対象として当該行事の費用を負担する場合を除き、課税しなくて差し支えない。

(注)上記の行事に参加しなかった者(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を含む。)に支給する金銭については、給与等として課税することに留意する。

(「所得税基本通達36-30」国税庁HPより抜粋)

 

このうち、社員旅行の取扱いについては、さらに細かくその取扱いが定められています。

 

使用者が、従業員等のレクリエーションのために行う旅行の費用を負担することにより、これらの旅行に参加した従業員等が受ける経済的利益については、当該旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員等の参加割合・使用者及び参加従業員等の負担額及び負担割合などを総合的に勘案して実態に即した処理を行うこととするが、次のいずれの要件も満たしている場合には、原則として課税しなくて差し支えないものとする。

(1) 当該旅行に要する期間が4泊5日(目的地が海外の場合には、目的地における滞在日数による。)以内のものであること。

(2) 当該旅行に参加する従業員等の数が全従業員等(工場、支店等で行う場合には、当該工場、支店等の従業員等)の50%以上であること。

(国税庁HPより抜粋)

 

これだけ読んでも、分かりにくいですので、社員旅行が福利厚生費として認められるための主要な要件を以下にまとめてみます。

  • 役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われる程度のものであること
  • 旅行期間は4泊5日以内のもの
  • 全従業員の50%以上が参加していること

 

具体的にどのような社員旅行が給与扱いとなるのか

社員旅行が福利厚生費として扱われるためには、上記のとおり、その要件を全て満たす必要があります。

しかし、なかなかイメージがつきにくいと言えますので、もう少し具体的に説明してみたいと思います。

 

負担額が高額である場合

一定の要件を満たす社員旅行を給料扱いとしないのは、経済的利益が少額なものまで敢えて課税しなくてもよいという少額不追及の考え方を趣旨としますので、当然、世間的に一般的に行われるだろう社員旅行と比較して明らかに豪華すぎるものまで対象とはなりません。

このため、移動手段、ホテル、宴会などを豪華にしすぎてしまい、一人当たりの負担額が高額になりすぎると、一般的に行われる社員旅行の範疇からはかけ離れてしまいますので、それはさすがに給与として課税しなくてはならないということになります。

じゃあ、いくらまでなら良いのかというはなしになりますが、税法や通達などでは具体的な金額基準は設けらておらず、このため、過去に裁判で争ったような事例も多くあります。

一方で、国税庁HPのタックスアンサーにおいて、社員旅行の判定を示す例示の中に、従業員一人当たりの会社負担額が10万円のものを原則非課税として説明している例示があり、これを理由として、一般的に10万円までなら比較的安全だと言われることが多いと言えます。

しかし、あくまで、その会社の状況や、その旅行の内容、世間一般の状況などを総合的に判断するものですので、いくらまでなら絶対にOKとまでは言い切れません。

特に、経営者仲間がいくらの社員旅行でも税務調査で指摘されなかったというような情報が耳に入ることもあるかもしれませんが、この金額だけが独り歩きしてそれを鵜呑みにしてしまうと痛い目に合うこともありますので、必ず事前に顧問税理士に相談してみましょう。

 

不参加者に対して金銭を支給している場合

社員旅行を実施するにしても、業務都合やプライベートの事情などで社員旅行に参加できない役員や従業員もいるかもしれません。

この場合、みんなで行く社員旅行に参加できない従業員は可愛そうだということで、旅行代金相当額の一部を金銭で渡したく気持ちもあるのですが、その場合は当然その従業員に対する給与扱いとなります。

また、特に、自己都合で不参加となった従業員に対して実際に金銭を渡してしまうと、金銭でもらった従業員だけでなく、旅行に参加した従業員も含めて、その支給した金銭額相当分が給与扱いとされてしまいますので要注意です。

 

旅行日程が4泊5日を超える場合

旅行日程は4泊5日までが要件とされており、海外旅行の場合は目的地における滞在日数でカウントします。

当然、それを超えると社会通念上一般的に行われるものを超えるということで、要件を満たさず従業員に対する給与扱いとなります。

 

参加割合が全従業員の50%を下回る場合

参加割合が全従業員の50%を下回ると要件を満たしません。

なお、工場や支店単位で実施する場合には、その工場や支店の従業員数の50%以上であれば要件を満たすことになります。

当然、幹部や成績優秀者といった特定の役員・従業員のみを対象とする社員旅行などは、その役員や従業員に対する給与扱いとなります。

 

税務調査に備えてエビデンスを残す

社員旅行は税務調査でもしっかりとチェックされることが多いと言えます。

このため、旅行会社から渡される工程表や参加者名簿、写真などをエビデンスとして残しておきたいところです。

 

まとめ

従業員のために会社が負担する社員旅行なんだから、当然に福利厚生費だろうと思ってしまいがちですが、給与扱いされないためには、気を付けておかなくてはならないハードルがいくつかあります。

要件を満たさずに給与扱いされると、従業員は後から所得税や住民税を課税されることになりますし、会社側は源泉所得税の徴収漏れということで納付漏れに対するペナルティまで負担しなくてはなりません。

当然、役員の場合は給与扱いとなると、定期同額給与の要件を満たしませんので、会社の経費とすることもできません。

このように税務調査で指摘されてしまうと、大きな痛手になってしまいますので、注意したいところです。

 

今日の日記

とうとう、家族の携帯を大手から格安スマホに変えてみました。

確かに、いろいろと手続きは煩雑でしたが、毎月の通信料は半額程度になる予定なので、そんなことは言ってられません(笑)

ちなみに、スマホの契約も税金と同じで知っているのと知らないのとでは本当に大きな違いがあるものですね。

とはいえ、色々な方がブログなどで、画像つきの情報提供をしてくれていますので、今回の契約もそれを見るだけで手続きを迷うことなく進めることができました。

このブログもそんな良い情報提供になればと思っています。

 

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