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その「もったいない。」が大損を招く?サンクコストを理解して正しい意思決定を!

 
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英会話教室に通い始めて3年程経ちますが、自分の中でその重要性が薄れてしまい、最近は気持ちが遠のきつつあります。けど、3年も通ったので途中でやめるのはもったいなくて・・・。

若手社長くん

英会話教室を続けるどうかに、3年間通ったことを考慮するのはどうだろうか。

ベテラン先生

とはいっても3年も通ってきましたからね。3年分の受講料も払ってきましたしもったいないですよね。

若手社長くん

過去の過ぎ去ったことを忘れられずに意思決定をしてしまうと判断を誤ってしまうよ。

ベテラン先生

上記の事例のように、何かを決めようとするときには、どうしても過去のことに引きずられがちです。

例えば、上場企業のような優秀な幹部や従業員が多い大企業であっても、「当社をひっぱってきた主力事業だから…」、「これまでに300億円も投資してきたのだから…」と過去を引きずって経営判断を誤ることがあります。

このようないまさら戻ってこない過去のコストのことをサンクコスト(埋没費用)と言い、この考え方を知っているか知らないかで、経営の意思決定にも大きく影響します。

今日は、経営の意思決定にも大きな影響を及ぼすサンクコストについて説明します。

 

今回のポイント
経営判断に大きな影響を及ぼすサンクコストという考え方を知ろう。過去に引きずられず、合理的な判断ができないと、大損を招いてしまうこともあるので気を付けましょう。

 

そもそもサンクコストってどんなもの?

まずは、ウィキペディアで、サンクコストの意義を確認してみましょう。

埋没費用(まいぼつひよう、英: sunk cost 〈サンクコスト〉)とは、事業や行為に投下した資金・労力のうち、事業や行為の撤退・縮小・中止をしても戻って来ない資金や労力のこと。(ウィキペディアより抜粋)

分かりやすく言うと、サンクコストとは、いまさら戻ってこない過去のコストのことを意味します。

それでは、システム開発の場面を想定して具体的な事例を見ていきましょう。

【サンクコストを考えるための具体例】
A社は、とある業界のシステム開発を行う企業です。3年前から大規模なシステム開発を進めてきましたが、先日、ライバルであるB社が画期的な新システムをリリースするにことになったのです。B社が開発した新システムは当社よりも割安で、性能面でもA社のシステムを上回る見込みだとのこと。これまでA社はこのシステム開発に10億円を投じており、システムの完成・リリースまでには、あと1億円を要する見込みです。一方で、A社のシステムをリリースしたところで、大きなリターンは期待できない状況だとの報告が部下から上がってきました。

この状況であなたがA社の社長であるとすれば、上記以外の情報を無視して考えると、どのような意思決定を行うでしょうか?

答えは、今後完成・リリースまで投じる必要のある開発コストである1億円を上回る投資回収を図れるのであれば、開発行為を継続するということになり、そうでなければ、撤退するという判断になります。

例えば、部下が正確な今後のリターンを見積もってみると、だいたい3億円であったとすれば、これから完成までに1億円を投じて3億円のリターンが見込めることになり、開発は継続するということになります。

いやいや、総開発費は11億円なんじゃない?続けても赤字だろうと思われたかもいらっしゃるかと思いますが、これまでの開発費用10億円はサンクコストになるため、考慮してはいけません。

逆に、部下が見積もったリータンが1千万円だということであれば、撤退するという判断になります。

今まで10億円も投じてきたんだし最後まで開発しなくてはもったいない。開発さえできてしまえば少しでもリターンが見込めるが、今撤退してしまったら1円もリターンがないと考えてしまって開発を続けてしまうと完全なドツボにはまっていくことになります。

大企業であっても似たような選択をしてしまうことがあるので要注意なのです。

あくまで、意思決定の時点において、将来的に投じる必要のあるコストとそのリターンを勘案して意思決定を行う必要があるという考え方になります。

間違っても、これまでに投じてきた10億円といういまさら戻ってこないコストを意思決定の材料にしてはいけないというのがサンクコストの考え方なのです。

 

経営以外にもたくさんあるサンクコストの具体例

とても難しい話ですので、もう少し分かりやすく、経営から離れた日常的な話に落としこんで具体例を見ていきたいと思います。

 

飲み放題で元を取るまで飲む?飲まない?

まずは、3千円の飲み放題にやってきたケースを考えてみます。

通常500円で販売しているビールを3杯飲んだものの、今日は体調が悪くて、このまま飲み続ければ明日は二日酔いになるかもしれないし、気分も悪くなりそうだと予想されるケース。

おそらく多くの方が、飲み放題の半額相当分しかビールを飲んでいないのでもったいないと感じるでしょう。

しかし、ここでは飲み放題のためにすでに投じた3千円はサンクコストになります。

サンクコストが忘れられなければ、残り3杯以上ビールを飲み続けて、翌朝の二日酔いに悩まされるでしょうし、サンクコストを除外して意思決定すれば、ビールを飲まずにストップして、翌朝の二日酔いを避けれたということになるでしょう。

 

つまらない本を最後まで読む?読まない?

次は、2千円で買った本を半分まで読んでは見たけど、つまらなすぎて頭に入ってこないというケース。

本のために投じた2千円と半分まで読んできた時間がもったいないと感じてしまい、残りも読んでしまおうと考える方も多いはずです。

しかし、本に投じた2千円と、半分まで読んできた時間は、サンクコストなのです。

サンクコストの考え方をしっかりと理解していれば、きっぱりと本を読むことを辞めてしまい、他の本を読むなり、他のことに時間を使って有意義に過ごすという選択になるでしょう。

最悪のケースは、本の残り半分も読んで結局何も頭に入らず、苦痛な時間を過ごしただけというケースが考えられます。

 

興味をなくしてしまったお稽古を続ける?続けない?

最後に、冒頭のお稽古の事例。

英会話教室のために支払ってきた受講料と3年間の受講期間はサンクコストになります。

英会話をマスターすることの重要性が薄れてしまったのであれば、このまま英会話教室を続けたところで、興味のない時間を過ごすだけとなってしまい、身につけた英会話の技術も自分にとっては重要性がないということになってしまいます。

もし、サンクコストの考え方を知っているのであれば、これまでの受講料と3年間の受講期間はきっぱり忘れてしまって、もっと重要性の高いことに時間を使ったほうが自分にとっては有益ということになります。

 

サンクコストを忘れられないと大損することも?

上記の事例を見てみると、サンクコストにとらわれて意思決定を誤ると、更なる深みにはまって大損をしてしまう可能性が高いということを感じていただいたのではないでしょうか。

つまり、サンクコストが頭によぎって、撤退判断を狂わせるということなのです。

ちなみに、サンクコストにとらわれてしまう理由としては、今までに投じてきたコストをもったいないと感じることが最も大きく、他にも、自分の失敗や撤退を認めたくないということなんかも影響してくるでしょう。

小さい頃に教えてもらった「もったいないおばけ」にとらわれることは、経営においては完全にタブーだと言えます。

 

まとめ

正しい意思決定を行っていくためには、サンクコストの考え方の正しい理解が重要になります。

そして、サンクコストにとらわれて意思決定を誤ると、大損につながる可能性があるということも認識しておくべきでしょう。

実は、サンクコストと併せておさえておきたい考え方に機会費用(オポチュニティーコスト)というものがあり、両方の考え方が非常に重要になります。

サンクコストは無視すべきコストですが、機会費用は逆におさえておかなければならないコストなのです。

こちらは、またの機会にご紹介したいと思います。

 

今日の日記

実は、最近家族でご飯を食べに行って出くわしたのがこのサンクコストのケースでした。

その日は体調が悪くてこれ以上食べたくないのだけど、もったいないしと無理して食べ続けて、後から気分が悪くなるというもので、本当に何をやっているんだと反省していました(汗)

もちろん僕たちの世代でもご飯は残してはいけないものという意識が頭にこびりついていますので、もったいないという考え方とは少しずれる気もしますが、ただ、これも経済学的に考えると・・・だったのでしょうね。

そんなこんなで、経営にかかわらず、生活の中にもサンクコストはいっぱいだとかんじたわけです。

 

さてさて、ブログの更新ペースが上がってきました(よしっ)

 

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