機会費用ってなに?機会費用を理解して正しい意思決定を!

外出するときは出来るだけ「電車+徒歩」で移動しています。毎日タクシーを使うのは、流石にもったいないですしね。
若手社長くん
それは本当にもったいないのかな?
ベテラン先生
電車で行けば300円のところも、タクシーで行くとその10倍はかかりますよね。コスト削減しなくてはいけませんよね。
若手社長くん
例えば、タクシーで移動することで浮いた時間を営業などのビジネスに充てると考えたらどうかな?それでもタクシーの選択は無駄だと言えるだろうか?
ベテラン先生
前回は、経営の意思決定に影響を及ぼすサンクコスト(埋没費用)という考え方をご紹介させていただきました。
しかし、実は、サンクコストの理解だけでは不十分なのです。
今回ご紹介する「機会費用」という考え方も併せて理解しておかないと上記の事例のように正しい意思決定はできません。
今回は、少し難しい概念ですが、機会費用についてご紹介します。
なお、先日ご紹介しましたサンクコストと併せてご確認いただければと思います。
目次
そもそも機会費用ってどんなもの?
まずは、ウィキペディアで、機会費用の意義を確認してみましょう。
機会費用(きかいひよう、英: opportunity cost)とは、時間の使用・消費の有益性・効率性にまつわる経済学上の概念であり、複数ある選択肢の内、同一期間中に最大利益を生む選択肢とそれ以外の選択肢との利益の差のこと。最大利益を生む選択肢以外を選択する場合、その本来あり得た利益差の分を取り損ねていることになるので、その潜在的な損失分を他の選択肢を選ぶ上での費用(cost)と表現している。(ウィキペディアより一部抜粋)
正直すごく難しい考え方ですね。
機会費用とは、誤解を恐れずに分かりやすく言うと、「ベストな選択をしていたら得られたであろう利益」のことであり、要は、ある選択をしたが故に、「とりっぱぐれた利益」だと言っても良いでしょう。
それでは、簡単な事例で確認してみましょう。
【機会費用の事例】
現場の営業マン時代に優秀な成績を収めたAさんが、晴れて管理職に出世しました。Aさんは、部下の仕事ぶりを見ているともどかしく、自分でやったほうが早いということもあり、部下の仕事をせっせとこなしていると、年間100時間程度の仕事をこなしていたようです。部下のやるべきこの100時間の仕事から生まれる利益は、時間単価5千円程度と推定することができ、年間50万円程度の価値があると考えられます。一方で、管理職としてのAさんに求められる時間単価はその倍の1万円程度であり、Aさんが自分の管理職としての仕事を行わず、部下の仕事をせっせとこなすことで、その差額分だけ機会費用が生じていたことになります。
出世したての管理職にありがちな事例ですが、自分がやったほうが早いからと部下の仕事を取り上げていても、会社としては機会費用が発生してしまうことになります。
ちなみに、この事例は強引に数値化して比べてみましたが、本来はこのように具体的に数値化するのは困難ですし、また、機会費用と言っても、実際にその分のお金が出ていっているわけではありませんので、実務的にはその判断に迷うことも多いでしょう。
しかし、あらゆる選択肢の中からベストな選択肢を選ぶにあたっては、この機会費用を常に意識しなくては、ベストな選択をすることはできません。
こんなところにも潜んでいる機会費用
会社経営においては、経営判断の連続であり、その判断の分だけ機会費用の検討が必要になります。
会社の状況によっては結論が異なるケースもあり、ケースバイケースではありますが、例えば、こんなところにも機会費用は潜んでいる可能性があります。
社長が雑務を行うケース
人件費等の様々なコストを浮かすために社長本人が請求書を作って郵送したり、経費の振込を行ったりと、雑務を行うケースもあるかと思います。
しかし、これらで浮かすことのできる人件費等のコストよりも、社長本人が営業活動を行ったり、高度な経営判断を行うことに集中することの方が、会社にとっての利益が多く、ここに機会費用が発生している可能性があります。
タクシー代をケチって電車で移動するケース
冒頭の事例ですが、こちらも電車賃とタクシー代の差というほんのわずかなコストの削減が、社長の重要な時間をロスするという本末転倒な結果を生む可能性があります。
電車や徒歩では移動中に仕事をすることはできませんし、タクシーであれば社内で電話を掛けたり、パソコンを開いたりすることもできるでしょう。
そもそも、社長本人の働きが、タクシー代をケチって電車に乗ることで浮かすことができる程度の利益よりも価値がないなんてことはないでしょうし、もし、そうであるならが、早急に改善の必要があると言えます。
この他にも、ビジネスクラスに乗ったり、グリーン車を利用するのも同様の考え方だと言えます。
プライベートにだって機会費用の考え方は存在する
機会費用が発生するのは、経営の場面だけではありません。人生の様々な場面でも発生します。
例えば、大学進学か就職か、働きながら税理士試験を受けるか退職して受験に専念するか、バイトをさぼって彼女と遊びに行くか予定通りバイトに行くか・・・などなど。
経営のように、キャッシュフローというお金だけで測ることのできるものでもありませんが、プライベートの選択でも機会費用という考え方は出てくるのです。
まとめ
経営の意思決定において、いまさら戻ってこない過去の費用であるサンクコストは、無視して考えなくてはなりませんでしたが、機会費用はじっくりと比較検討する必要があります。
意思決定においては、どうしても感情に流されていしまい、合理的な意思決定を妨げることもあるかもしれません。
しかし、サンクコストと機会費用という2つの考え方を知っていれば、意思決定の視点が変わってくるものだと言えます。
今日の日記
こんな機会費用の話をしながらも、私自身はタクシー代をケチって電車で行くことが多いのです。
そして、サンクコストも頭によぎってしまい、合理的な意思決定ができていません。
この週末も、この本つまらないなぁと言いながら買った本をすべて読んでしまいましたし。。。
理屈で分かっていても感情が邪魔をするということを身を持って体験しています(滝汗)