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「今期は利益が出そうだから車を買い換えよう。」は本当に得策なのか考えてみました

 
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創業や経営支援分野に注力している税理士事務所です。税理士としては珍しい大手金融機関で融資実務を経験したキャリアを持ちます。どんな些細なことでも相談していただけるように丁寧な対応を心掛けています。
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今年は結構利益が出そうなので、車でも買い換えようかと思っています。

若手社長くん

車が老朽化していたりして、業務都合で必要なのであれば問題ないのだろうけど、利益が出そうだというだけで買い換えるのはどうだろうか?

ベテラン先生

けど、税金を払うくらいなら車を新しくした方が良いと思いますし。

若手社長くん

じゃあ、実際にその車を買っていくら税金が減るのか具体的な数値例で考えてみよう。

ベテラン先生

 

上記のように、期末近くになって、今期は結構利益がでそうだということが分かると、税金を払うのもなんだし、とりあえず車でも買い換えようかという流れになってしまうこともあるのではないでしょうか。

しかし、期末間際に車を買い換えたとしても、減価償却費の計算をしてみると、実は、そんなに納税額を圧縮できるわけではないということに気づきます。

また、大きな資産の購入はキャッシュフローの悪化にもつながりますし、無理な利益圧縮は銀行の評価を下げてしまうことにもつながりかねません。

今日は、このようなことを具体的な数値例で考えてみたいと思います。

 

今回のポイント
期末間際に資産を購入してもそこまで税額を減らせるわけではなく、また、キャッシュフローの悪化や銀行の評価を引き下げてしまうことにもつながりかねませんので、慎重に判断しましょう。

 

期末間際に車を買ったらいくら経費になるのか?

購入した車の値段が30万円未満であれば、(例外もありますが)基本的には少額減価償却資産の特例により、全額をその年の経費として一括計上することができます。

一方で、車の値段が30万円以上になると、経費として一括計上できるわけではなく、決められた耐用年数に基づいて計算した減価償却費を今年の経費として計上することになります。

 

減価償却費の計算の基礎となる償却方法と耐用年数

例えば、車で考えてみると、法人の場合であれば、原則、償却方法は定率法で計算することになります。

耐用年数は、車の種類等にもよりますが、軽自動車ではなく通常の乗用車として考えると、耐用年数は6年となりますが、中古車の場合は新車登録からの経過年数で変わってきます。

耐用年数6年の乗用車であれば、基本的には、新車登録から4年以上経過していれば、耐用年数は最も短い2年になります。

ただし、中古車を購入の際に改良等していれば変わってくるケースもありますので、その点は注意が必要です。中古の耐用年数の計算の詳細につきましては、こちらの国税庁HPをご覧ください。

 

新車を買った場合の数値例

例えば、値段が1千万円の新車を購入したと仮定します。

3月決算の会社で、1月に車が納車され、1月から使用を開始しているとすれば、当期中の使用月数は3か月になります。

この場合の減価償却費の計算は以下の通りとなります。

車の値段10,000,000円×耐用年数6年の償却率0.333×当期中の使用月数3/12=当期に計上できる減価償却費832,500円

そして、法定実効税率が30%と仮定して税金を計算すると、影響額は以下の通りとなります。

減価償却費832,500円×法定実効税率30%=249,750円

なんと、1千万円を投じてみても、今年の納税額は25万円程度しか減りません。

もちろん、翌年以降も減価償却費を計上することはできますが、今年の税金を減らそうとして考えるのであれば、その効果はこんなものなのです。

 

中古車を買った場合の数値例

上記の事例で、新車登録から4年以上経過している中古車(耐用年数2年)を想定して考えてみます。

車の値段10,000,000円×耐用年数2年の償却率1.000×当期中の使用月数3/12=当期に計上できる減価償却費2,500,000円

そして、法定実効税率が30%と仮定して税金を計算すると、影響額は以下の通りとなります。

減価償却費2,500,000円×法定実効税率30%=750,000円

新車よりは効果があるとはいえ、今年の納税額は75万円しか減らないことが分かります。

 

手元にお金がいくら残るのかという視点

もし、キャッシュで一括購入をしたとするならば、1千万円の新車を買って減らすことができる今年の税金は25万円弱程度ですので、キャッシュフローはかなり悪化してしまうことが分かるのではないでしょうか。

もちろん、ローンで買えば、先に出ていくお金は減らせることになりますが、当然、それなりの金利負担が生じてしまうことになります。

結局のところ、手元にお金を残そう考えるのであれば、素直に税金を払ったほうが…ということになってしまいます。

減価償却費というと、一般的に「お金が出ていかないうれしい経費」というようなプラスのイメージを持たれがちですが、資産を購入した時に先にお金が出ていくということを見落としてはいけません。(もちろん、ローンで購入する場合は異なりますが。)

先にお金を払っているのに、経費になるのは遅れてからということになるのであれば、キャッシュフローを悪化させる要因につながってしまいます。

 

事業に必要な投資なのかという視点

とはいえ、車を買うこと自体が悪いことだと言うわけではありません。

営業車や社用車は事業に必要な資産のはずです。

ただ、せっかく投資をするのであれば、税金対策と言う視点だけではなく、本当にこのタイミングで投資をする必要があるのか、事業にとって必要不可欠なものであるかということに重きを置いて考えたいところです。

 

本当に利益は残るのか?決算予測のススメ

あと、気を付けたいのが、黒字と思って決算対策をしたけど赤字だったというケースです。

これが一番最悪なケースだと言えます。

一過性の特殊要因での赤字を除き、基本的に赤字が2期以上続くと、銀行融資は非常にネガティブな判断になりがちです。

黒字と思い込んで税金対策をしたはずが、赤字になってしまって銀行融資の可能性を狭めてしまったというのでは、本業の首を絞めることにもなりかねません。

頭の中でそろばんをはじいて黒字だろうと考えるのではなく、やはり、しっかりと実際の数字に落としこんでエクセルやソフトを利用して決算予測を行いたいところです。

もちろん、自社でできれば一番良いのですが、この辺りは顧問税理士の力を借りたいところですね。

 

まとめ

事業を大きく育てていくためには、しっかりと利益を計上して、ぐっと我慢して納税を行うという場面も必ず必要になってきます。

目先の納税を抑えるために、車を買い換えたり、本当はそこまで緊急性のないものを購入したりしても、実際に手元に残るお金を考えてみると、逆効果だったりします。

そして、節税のために利益を圧縮すれば、銀行の評価にも影響が出てくることになります。

これが原因になって、本当に勝負をすべき設備投資の場面や、景気の影響を受けて資金繰りが厳しい時に、銀行融資を受けれない可能性だって出てくるかもしれません。

税金をいくら支払うのかということよりも、結果としていくら手元に残るのかということ、そして、将来的な財務への影響を踏まえて適切な意思決定をしていきたいところです。

 

今日の日記

事務所は地下鉄の江坂駅の近くにあるわけなのですが、吹田市役所は阪急吹田駅、吹田商工会議所は阪急吹田駅、税理士会の吹田支部の集まりはJR吹田駅がそれぞれの最寄り駅でして、普段よく行くところは事務所に近いようで不便な位置関係にあったりします(汗)

地下鉄と阪急、JRの違いはあっても同じ吹田だろと思われがちなのですが、江坂駅から阪急吹田駅には歩いて30分以上かかりますし、JR吹田駅ともなると40分以上かかってしまいます。

電車で行くにも、地下鉄の江坂駅から阪急吹田駅やJR吹田駅には新大阪駅や梅田駅経由で乗り換えて行く必要がありますので、実は電車で行ってもそんなに時間は変わりません。。。

そんなこんなで、やっぱり自転車が欲しいなぁと思うわけですが、未だに自転車の購入を見送って徒歩で対応しています。

う~ん。ここでも機会費用を無視した行動ですね。。。反省です(汗)

 

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