創業期の初期投資で注意したい5つのこと。創業融資と資金繰りの正しい理解も重要です

念願の独立開業ですので、自分の机やイスはこだわりのものでスタートしたいんですよ。
若手社長くん
うん、その気持ちは良く分かる。けど、良いものを見れば本当にキリがないからね。今後の資金繰りもしっかりと確認しておきたいね。
ベテラン先生
自分のモチベーションをあげるためにも、初めからこだわりたいんですよ。
若手社長くん
創業期は予定外のことも多く、単月で黒字になるには半年から一年はみておかないと。安易な初期投資は自分の首を絞めることにだってなるかもしれないから、優先順位をつけて考えてみよう。
ベテラン先生
念願の独立開業ともなると、オフィスや人材投資に限らず、身の回りのオフィス用品だって、こだわりのもので揃えたくなるというのは自分自身の経験上も良く理解できる話です。
しかし、創業から数年以内でかなり多くの事業者が廃業に追い込まれているという事実にも目を向ける必要があります。
このブログでも何度も言っていますが、「事業は小さく初めて大きく育てる。」という鉄則の通り、無理な初期投資は自分自身の首を絞める結果にもつながりかねません。
今回は、創業期の初期投資で特に注意したいことをまとめてみましたので、是非、ご参考にしていただければと思います。
目次
創業期の初期投資で注意したい5つのこと
私自身の体験や先輩創業者の意見を参考に、特に注意しておきたいことを5つあげてみました。
創業期の初期投資の検討に当たっては、数値計画を含む事業計画の策定が大前提となりますので、こちらは、別枠で後に書かせていただいています。
必要最低限からスタートして段階的に投資を進める
冒頭の会話のように、いきなり、ハイスペック、フルスペックで始めるのではなく、必要最低限からスタートし、事業の手ごたえを感じながら、段階的に投資を進めることでリスクを軽減することができます。
後述していますが、初期投資は、数値計画を含む事業計画の策定が大前提となります。
当然、手持ち資金という予算をベースに、初期投資やその後の運転資金を考えていかなくてはなりません。
創業者は誰しもが経験してきていることですが、当初資金は、初期投資と事業スタート後の運転資金で、驚くほど速いペースで減少していくことになります。
預金通帳の残高がものすごいペースで減っていくと、精神的にも相当辛くなってしまいます。
このため、事業が軌道に乗るまでの間は、必要最低限の投資に抑え、手持ち資金を出来るだけ多く持っておくことで、その後の不測の事態にも備えることができます。
手持ちの資金が豊富にあれば、事業が軌道に乗るまでの時間を稼ぐこともできるということを覚えておきたいところです。
中古品やアウトレットも視野に入れる
上記とも重なる部分となりますが、必ず全ての投資を新品で始める必要もありません。
例えば、オフィス家具などは、リサイクルショップで調達することだってかまわないのです。
実際に、私自身も吹田市江坂で事務所を借りる際、不動産会社の人に、
「この辺りで開業される方は、オフィス家具は近くのリサイクルショップで購入されることが多いですよ。」
と教えてもらいました。
色々調べて、現地の店舗にまで足を運んでみると、新品に比べると値段はかなり安いですし、中古には見えないクオリティのものもあり、非常に満足しています。
もちろん、商品によっては、品薄などの影響で、新品を買ったほうが良いというケースもあったりと、事前の下調べと価格感をつかんでおく必要はあると感じます。
また、信用や生産性に直結するものなど、何が何でも中古やアウトレットが良いというわけではありませんので、その辺りの判断は必要になってきます。
毎月発生する固定費ほど慎重に検討する
初期投資の際には、毎月定額で発生することになる固定費の契約ほど慎重に行いたいところです。
事業内容にもよりますが、人件費と家賃は経費の大半を占めるケースが多いと言えます。
どちらも、売上の状況にかかわらず、契約後は、毎月定額でコストが発生することになりますし、また、事業の状況が思わしくないからと簡単に契約を解除することなんてできませんので、慎重に判断する必要があります。
○年縛りの契約は後で後悔することもある
例えば、個人でいうところのインターネットや携帯電話のように、解約時に違約金を伴うことになる○年縛りの契約にも注意しておきたいところです。
私たち税理士であれば、サーバー契約や会計・税務ソフトなんかの契約が該当することが多いと言えます。
創業前に想定していたことについては、事業を実際にスタートしてみると全然違ったということはよくある話です。
事業スタート後に解約をしたいと思っても5年契約で解約をしてしまうと多額の違約金を精算しなくてはならないということになると、資金的にも精神的にも大きな足かせとなってしまいますので、このような複数年契約には慎重に対応する必要があります。
意外に時間のかかる電話やネット回線の手続き
人を雇っていたり、店舗や事務所を借りていれば、人件費や家賃が発生しますので、創業後は無駄なくすぐにでも事業を開始できるように、余裕を持って事前準備を進めておきたいところです。
例えば、インターネット回線は工事が必要になりますので、今日電話して明日に工事して開通というわけにはいかないでしょう。
工事日を調整する必要もありますし、工事で不都合があった場合の対応なども勘案すると、時期にもよりますが一月くらいは余裕を見ておく必要があります。
このように、インターネット回線に限らず、初期投資の遅れで開業日が後ろにずれるということだけは避けたいところですので、日程はしっかりと確認し、出来るだけ余裕を持って対応することも大切です。
初期投資の検討には事業計画(数値計画)が前提になる
創業融資を受けるのであれば、数値計画を含めた事業計画が必須になりますが、もちろん、創業融資を受けなくても事業計画はしっかりと立てましょう。
将来的な資金計画によっては、初期投資を抑えなくてはならないなど、数値に落としこんでみることで具体的なことが見えるようになり、優先順位も明確になってくることでしょう。
初期投資にお金をかけすぎて、その後は、もう資金に余裕がないというのでは、当然、事業の継続は厳しくなってしまいます。
事業内容にもよりますが、通常は月次の収支がプラスになるのには半年から一年近くかかってしまうものです。
このため、まずは、数値計画を含めた事業計画をしっかりと検討することからスタートしてみましょう。
また、自分で策定する数値計画は甘くなりがちのため、商工会議所などの公的機関なんかもうまく利用して、第三者である専門家の目でチェックしてもらうのも有用です。
専門家の講義を受ける機会がある創業塾に参加してみるのも良い機会になるでしょう。
創業融資や資金繰りに対する正しい理解を
借金を背負って事業をはじめるのは・・・と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
それは、誰しもが感じることですので、不思議なことではありません。
融資を受けることを何が何でも肯定するわけではありませんが、ただ、苦しくなってから融資を検討すればよいと考えているのであれば、時すでに遅しとなる可能性が高く、資金調達の難易度は驚くほど高くなるということを理解しておく必要があります。
事業のスタートに併せて検討する創業融資の場合は、基本的にこれから事業をはじめることになるため、融資審査の視点はいかに準備をしてきたか(自己資金・経験など)ということに重点が置かれますが、事業がスタートしてからの融資申込になると当然事業の現況や結果も問われてくることになります。
事業をスタートしてみたけど、当初の想定よりも結果は悪く、黒字の見込みも当面厳しいという段階で融資を検討するのであれば、融資審査のハードルも相当上がってしまうということは想像に難しくありません。
このような創業融資や創業期の資金繰りの考え方は、以下の記事に書かせていただいていますので、是非ご参照ください。
まとめ
念願の事業スタートということで、オフィス家具など、必要物品については、新しいもの、スペックの良いものを購入してスタートしたいという気持ちは良く分かりますが、その気持ちをぐっと抑え、事業計画を睨みつつ、初期投資は出来るだけ絞っていくことも大切な考え方です。
実際に事業をスタートしてみて、「お金がこれだけ残ったら次はこの投資をしよう。」ということで、少しずつ目標を定めて順番にそろえていくのもモチベーションにつながり楽しいところだと感じます。
そして、初期投資を検討するにあたっては、数値計画を含めた事業計画が前提となります。
事業開始後も想定して、創業融資や資金繰りに関する知識もしっかりと持っておきたいところです。
今日の日記
少し前の記事で、事務所のある江坂からJR吹田駅方面に行くのには、不便だということを書かせていただきました。
先週も税理士会の用事であったり、研修への参加などで、何度かJR吹田駅方面に行く機会があったのですが、初めてバスを利用してみました。
利用してみての感想は、「バスも結構いい!」ということ。
少しではありますが時間の節約になりますし、電車のように乗換えもないので、移動も楽です。
ただ・・・、
本数が少ないのです(泣)
やっぱり、自転車を買うかなぁ。。。