【個人事業主】事務所として利用している自宅家賃は経費になる?家事按分の考え方

個人事業で、自宅を事務所として利用しているのですが、自宅家賃は経費になるのでしょうか?
個人事業主
個人事業で利用している部分を明確に分けることできるのかな?例えば、この部分を事業で利用しているといったように。
ベテラン先生
はい。それは可能ですね。
個人事業主
なるほど。それであれば、自宅家賃の全ては難しいけど、合理的に計算した部分を経費にすることは可能になるね。
ベテラン先生
そうなんですね!是非、具体的に教えください!
個人事業主
開業間もない個人事業主の方の相談をお受けする機会が多いのですが、その中でも必ずご質問を受けるのが、上記のような内容となります。
恐らく皆さん悩まれるポイントは同じということでしょうね。
そこで、今回は、事業とプライベートの両方に関わりのある支出について、経費になる部分をどのように考えていけばよいのか、また、その際の注意点をご紹介したいと思います。
目次
事業とプライベートの両方に関連する支出はどうする?
例えば、冒頭の会話のように、自宅を個人事業の事務所として利用している方であれば、自宅の家賃は事業にも必要なものですし、また、住むためにも必要なものとなります。
このように、個人事業主の場合、事業とプライベートの両方に関わりのある費用のことを家事関連費と呼んでいます。
それでは、この家事関連費について、経費になる部分と、そうでない部分の区分けについて、どのように考えればよいのでしょうか?
以下で具体例を用いてご説明いたします。
自宅家賃を例に考えてみる
家事関連費は、事業で直接必要な部分のみ、合理的な方法で按分して必要経費とすることが認められています。
つまり、事業に必要な部分を何らかの方法で按分して経費に計上すれば良いということですね。そして、その按分方法は、これといった決まりがあるわけではありませんが、客観性があり、合理的な方法であることが求めらるということです。
それでは、具体的に、自宅家賃の事例で見ていきましょう。
家賃が月15万円、広さが100㎡の自宅の一部分を個人事業の事務所兼資料置場として利用しています。実際に利用している部分は20㎡であり、その部分は事業以外で利用することはありません。この場合は、利用の実態を表す使用面積で按分することが合理的であると考えられます。
家賃150,000円/月×20㎡÷100㎡=30,000円/月
ちなみに、自宅家賃の場合、必ず面積で按分しないといけないという決まりがあるわけではありませんが、自宅家賃の場合は面積で按分することが一般的であると言えるでしょう。
自宅事務所以外のケースは?
自宅家賃以外のケースで、よく按分が必要になるような家事関連費を想定される按分方法と共に記載してみました。
補足ですが、先程も書かせていただいたように、按分方法に法律上の決まりはありません。ご自身の状況に応じて利用実態を最も合理的に示せる方法を用いることが望ましいと言えます。
- 車の減価償却費:使用頻度(日数など)、走行距離の実績など
- 車のガソリン代:使用頻度(日数など)、走行距離の実績など
- 電話・携帯料金:使用頻度(日数など)、通話実績など
- インターネット代:使用頻度(日数など)など
- 水道光熱費:コンセントの数、事務所で使う前との比較で算出など
ちなみに、上記のような家事関連費について、事業だけでなくプライベートでも使っているのに、その全額が経費として申告されているということであれば、将来的な税務調査で指摘の可能性もでてくるでしょう。
是非、この機会に見直してみて、プライベートでも利用しているということであれば、事業で使っている部分のみを経費として計上するようにしましょう。
按分は合理的な方法で計算し根拠を残す
家事按分が発生する場合には、将来的な税務調査に備えて、特に以下の2つを気を付けましょう。
- 実態を表す合理的な方法に基づいて按分が出来ているか
- 按分根拠を明確にして記録に残しているか
将来的な税務調査で、按分の根拠(理屈)をきちんと説明できないようであれば、本当に正しく経費を計算できているのか疑われてしまっても仕方ありませんので、注意しましょう。
家事按分の仕訳はどうすればいい?
それでは、次に、実際に、家事按分した場合の仕訳を確認してみましょう。
仕訳の具体例
上記の事例の通り、15万円の家賃のうち、3万円が個人事業の経費であった場合の仕訳を記載してみました。
(借方)地代家賃 30,000円 / (貸方)普通預金 150,000円
(借方)事業主貸 120,000円
仕訳のタイミング
仕訳のタイミングとしては、上記の事例のように、毎月の支払の都度、地代家賃と事業主貸に分けるということもできますし、決算のタイミングで、一年分をまとめて振り分けるという方法もあります。
一年分をまとめて振り分ける方が手間は減りますが、毎月の損益を正しく見ようとする場合には、偏りが発生してしまうことになります。
持ち家を事務所として使っている場合の注意点
持ち家を店舗や事務所として利用している場合、減価償却費や固定資産税などについて、上記の考え方に基づいて、事業で使っている部分を経費として計上することも可能となります。
しかし、この場合、例えば、持ち家に住宅ローン控除を適用しているのであれば、住宅ローン控除の適用自体に制限が生じることもありますので注意しなくてはなりません。
原則、住宅ローン控除は居住用部分のみしか適用できず、事業として利用している部分には適用できません。(居住用割合が90%以上である場合を除きます。)
また、居住用として利用している部分が床面積の2分の1を下回ると、住宅ローン控除の適用要件自体を満たさないことになってしまいます。
こちらでは詳細な説明は割愛しますが、家事按分により思わぬところに波及することもありますので、この辺りは、顧問税理士とも相談して気を付けて対応する必要があるといえます。
まとめ
家事関連費を按分して経費とする場合には、按分根拠を明確にして、実態を表す合理的な方法で按分することが求められます。
また、将来的な税務調査に備えて、按分根拠をしっかりと記録して残して、しっかりと説明できるようにしておくことも重要となるでしょう。
本日の日記
明日は、朝は江坂、昼はJR吹田、夜は阪急吹田、最後にJR吹田に戻るという、近場でありながら辛い移動が待ってます。
移動は、歩きでしょうね~。晴れのようなので、それだけが救いです。。。
仕事が終わってから友人と飲みに行く予定なのですが、馬刺しの美味しい店を予約したとのこと。
今からめちゃめちゃテンションが上がってます!
JR吹田駅の近くとのことでしたので、またこちらでもご紹介したいと思います。