講師料や講演料の源泉所得税の徴収漏れはありませんか?

保育所や介護施設では、講師を招いて講義や講演をしてもらうということもよくあるかと思います。
実は、この講師料や講演料ですが、これまでの経験上、報酬支払いの際に源泉所得税の徴収が漏れているというケースに結構な頻度で遭遇してきました。
株式会社のような営利企業だけでなく、社会福祉法人などのように、収益事業を行っておらず、法人税の申告をしていないという場合でも、対象となる講師料や講演料を支払った場合には、所得税の源泉徴収が必要になります。
少し前の話ですが、税務調査で明らかになった公益法人の源泉所得税の徴収漏れがかなりの金額に上るという新聞記事もありましたし、当然、税務調査があれば、しっかり見られるポイントにもなるでしょう。
今回は、講師料の講演料の源泉所得税について解説します。
対象になるのは個人に対して支払うもの
大きなポイントは、支払う相手が個人の場合は源泉所得税の徴収が必要ですが、法人の場合は不要だということです。
「源泉所得税」という名前の通り、所得税の徴収ですので、支払う相手が法人の場合は徴収が不要ということですね。
このため、相手が法人となるのか、個人となるのかは確認する必要があるということですね。
対象になるは一定の報酬に限られる
それでは、個人に支払う報酬が何でも源泉所得税を徴収しないといけないかというと、そういうわけでもありません。
源泉所得税を徴収しないといけない報酬というのは、今回の記事の講演料や講師料であったり、税理士のような士業に対する支払いなど、法律で定められた一定の報酬に限られます。
実は、これはかなりたくさんありまして全てご紹介することは難しいですので、気になる方は、国税庁がアップしている「令和2年版 源泉徴収のあらまし」に細かく記載されていますので、リンクよりご確認ください。
支払いの名目と交通費に気を付ける
ここからは、よく間違えやすいポイントを確認していきたいと思います。
まずは、支払いの名目と交通費の考え方ですが、国税庁HPより以下に抜粋します。
謝礼、研究費、取材費、車代などの名目で支払われていても、その実態が報酬・料金等と同じであれば源泉徴収の対象になります。しかし、報酬・料金等の支払者が、直接交通機関等へ通常必要な範囲の交通費や宿泊費などを支払った場合は、報酬・料金等に含めなくてもよいことになっています。(国税庁タックスアンサー「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」より一部抜粋)
支払いの名目が、御車代や謝礼などのように、報酬という名目で支払っていないという場合でも、名目に関係なく実態を見て判断されるということになります。
単なる謝礼だしということや、また、御車代だしということで源泉徴収はいらないと思い込んでいると、あとから間違っていたということにもなりかねません。
そして、交通費については、支払う側が直接交通機関等に支払った場合については、源泉徴収の対象から除かれるということです。
交通費に関しても勘違いの多いところですので注意が必要です。
源泉所得税の計算で消費税はどう考えればよいか
次に、良くご質問を頂くところですが、税込金額に対して源泉所得税を計算するのか、それとも税抜金額に対して計算するのかという点です。
報酬・料金等の額の中に消費税及び地方消費税の額(以下「消費税等の額」といいます。)が含まれている場合は、原則として、消費税等の額を含めた金額が源泉徴収の対象となります。ただし、請求書等において、報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません。(国税庁タックスアンサー「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」より一部抜粋)
上記の通り、原則、税込金額に対して源泉所得税を計算することになります。
ただし、請求書などで税抜金額と消費税を明確に区分して記載している場合は、税抜金額に対して源泉所得税を計算してもよいということになります。
まとめ
例えば、幼稚園や保育所であれば外部の方に体操や英会話の先生をお願いするということも普通にあることかと思います。
そんな場合は、相手が個人なのか法人なのかをしっかり確認して、個人の場合は源泉所得税を徴収し、納付の必要があるということですね。
税務調査でも間違いなく確認されるポイントですので、しっかりと押さえておきたいところです。
あとがき
お正月は垂水神社まで歩いて初詣に。
今年の年末年始は非常に暖かくて、歩いていても気持ちが良いです。
娘も昨年になんとかベビーカーを卒業しまして、家族で歩いて行ってきたのですが、途中でトイレが我慢できない~とコンビニに急いで駆け込んで…。
そして、帰り道は疲れたから抱っこ~と。
お出かけは色々ありますが、それでも楽しいものですね(^^)/
さてさて、年が明けてから少し不安なニュースも続きますが、今年一年、平穏無事に過ごせたら良いなと思っています。
今年も一年宜しくお願いいたします!