指定介護老人福祉施設(特養)に関する施設サービスの費用って医療費控除の対象になるの?

前回の記事では、介護保制度による居宅サービスと医療費控除の関係を国税庁HPを参考にまとめてみましたが、やはり複雑な感じですね。
施設サービスとしては、指定介護老人福祉施設(特養)だけでなく、介護老人保健施設(老健)などもありますが、医療費控除の取扱いでややこしいのは、特養の方です。
このため、今回は、施設サービスの中でも特に指定介護老人福祉施設(特養)に関する医療費控除に絞って、国税庁のHPを参考にまとめてみましたので、ご参考にしていただければと思います。
目次
特養は診療所や病院ではないが…
指定介護老人福祉施設(特養)は、医療法でいうところの診療所や病院には該当しないようですが(国税庁HP参照)、医師や医療機関と連携を取りながら介護サービスが実施されているところです。
このため、特養で実施される介護サービスには、日常生活のサポートとされる部分だけでなく、医療費控除の対象となる療養上の世話とされる部分も含まれるものとされます。
このため、施設サービスのうち一定の金額が医療費控除の対象とされています。
医療費控除の対象となる金額の考え方
では、具体的にいくらが医療費控除の対象となるかということですが、国税庁HP(タックスアンサー「No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」)より、医療費控除の対象がまとめられた表をそのまま抜粋します。

医療費控除の計算にあたっての注意事項
医療費控除の計算にあたっては、以下の点に注意する必要があります。
2分の1相当額のみが対象となる
上記の表の通り、指定介護老人福祉施設(特養)と指定地域密着型介護老人福祉施設に関しては、2分の1相当額のみが医療費控除の対象となります。
日常生活費や特別なサービス費用は対象外となる
上記の表の通り、通常の日常生活においても必要になるような日常生活費、また、特別なサービス費用は医療費控除の対象外となります。
おむつ代は対象となる
おむつ代は介護費として介護保険給付の対象に含まれるため、自己負担額の2分の1相当額が医療費控除の対象となります。
実は領収書に医療費控除の対象額が記載されている
自分で計算するのは大変だと思われた方も多いのではないかと思いますが、実は、医療費控除の対象額は、施設から発行される領収書に記載されているのです。
領収書には、ご自身が施設に対して支払った支払総額とともに、そのうち、いくらの金額が医療費控除の対象になるかということが別枠にきちんと記載されています。
ここで注意したいのは、支払総額ではなく、別枠に記載されている医療費控除の対象額を医療費として集計するということです。
以下に、国税庁のHPを一部抜粋します。
指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)が利用者に対して発行する領収証に、医療費控除の対象となる金額が記載される。(注) 平成12年6月8日付課所4-9「介護保険制度下での指定介護老人福祉施設の施設サービスの対価に係る医療費控除について」(法令解釈通達)参照。
(国税庁HP「介護保険サービスの対価に係る医療費控除について」より一部抜粋)
まとめ
前回の記事でご説明させていただきました居宅サービスの医療費控除と同様に、非常に複雑だと感じます。
しかし、医療費控除の計算にあたっては、施設から発行された領収書を確認して、医療費控除の対象額として記載されている部分を集計すればよいということになりますので、その点では安心していただければと思います。
あとがき
2020年2月27日付で国税庁より、所得税・個人事業主の消費税・贈与税に関する申告期限・納付期限の延長が発表されています。(この記事の執筆時点である2020年3月2日時点の情報となります。)
これに併せて、振替納税の振替日に関しても延長がされるとのことです。
詳細に関しましては、国税庁HP等によりご確認頂ければと思いますので、よろしくお願いいたします。