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福利厚生目的で社内サークル活動の経費を負担した場合の税金ってどうなるの?

 
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従業員に対する福利厚生を目的に、社内のサークル活動の経費を一部負担しようかと思っています。

若手社長くん

いい試みだね。ただ、経費負担に関しては、社内ルール次第では税の取り扱いも変わってしまうので注意が必要だね。

ベテラン先生


保育園や介護施設だけでなく、従業員の採用や定着率のアップは経営上の課題の一つと言えます。

今回のテーマの社内サークルに関しては、昔に比べると減ってきているようにも感じますが、昨今のランニングブームを背景にマラソンサークルをはじめてみたりする会社も見受けられます。

こういった制度は、上手く活用できれば、従業員同士の親睦の機会を増やことにつながり、社内の結束力を高めたり、離職率の低下を図ったりと、それなりの効果も期待できるはずです。

そこで、今日は、福利厚生目的で会社が社内サークルの経費を一部負担した場合の税金の取扱いを考えてみたいと思います。

 

今回のポイント

会社が福利厚生目的で社内サークル活動の経費を負担した場合は、原則として従業員側は給与として課税されず、会社側も福利厚生費として経費処理することができます。ただし、一定の注意事項も。

社内サークル活動に参加する従業員個人側の税金の取扱い

会社が経費を負担する社内のサークル活動に参加した場合、従業員としては、会社から何らかの利益を受けているわけで、その利益は給与扱いとされるのではと心配された方もいるかもしれません。

しかし、以下の通達に沿って、福利厚生という本来の目的に従って適正に運営されている限りは、給与とされることはなく、所得税が課されることはありません。

(課税しない経済的利益……使用者が負担するレクリエーションの費用)
36-30 使用者が役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、使用者が、当該行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。)に対しその参加に代えて金銭を支給する場合又は役員だけを対象として当該行事の費用を負担する場合を除き、課税しなくて差し支えない。 (注)上記の行事に参加しなかった者(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を含む。)に支給する金銭については、給与等として課税することに留意する。
(所得税基本通達36-30より抜粋)

ただし、以下のようなケースでは、給与として取り扱われ、従業員側は所得税を負担しなくてはなりませんので、注意が必要です。

特定の従業員しか参加できないケース

役員や特定の管理職だけしか参加できないということであれば、給与として課税されてしまいます。

あくまで、希望する従業員であれば、だれでも自由に参加できるということが重要です。

従業員に現金が分配されたり本来の目的で使用されないケース

会社が負担した金銭は、サークル活動の本来の目的に沿って活用される必要があります。

例えば、会社が負担した金銭をサークルメンバーに自由に配分して、個人個人が好き勝手に使えるといったようなことであれば、当然、それは給与として課税されてしまいます。

また、本来の目的に応じて使用されないケースや、社内サークルの補助としての常識的な金額を超えてしまうような場合も注意が必要です。

会社購入の用具等が従業員のものとなるケース

会社が負担して購入した用具や備品類については、あくまで会社のものです。

社内サークルで管理すべきこれらの用具や備品類が従業員個人のものとして、持ち帰っててってしまうということであれば、当然、それは給与として課税されてしまいます。

経費を負担する法人側の税金の取扱い

社内サークルの経費を負担する法人側の取扱いについては、以下の通りとなります。

法人税・源泉所得税の取扱い

上記のように一定のルールを満たして、社内サークルを運営する場合の会社負担分については、福利厚生費としてその会社の経費処理とすることができます。

一方で、特定の従業員しか参加できないなど、上記のように給与扱いとされてしまうケースでは、金銭支給の給与と併せて適切に源泉所得税を計算し、納付する必要があります。

また、本来の福利厚生という社内サークルとしての範疇を超えるような特殊な場合や、得意先等の外部関係者が参加するような場合などは、福利厚生費ではなく交際費など実態に合わせてその処理を検討する必要がありますので、注意の必要があります。

消費税の取扱い

社内サークルが以下の通達に該当する場合については、会社から補助を支給した段階では消費税は不課税扱いとなりますが、実際にその補助を活用して社内サークルで物品等の購入に充てた段階で課税仕入(課税仕入とならないものを除く)を認識することになります。

(福利厚生等を目的として組織された従業員団体に係る資産の譲渡等)
1-2-4 事業者の役員又は使用人をもって組織した団体(以下1-2-5において「従業員団体」という。)が、これらの者の親睦、福利厚生に関する事業を主として行っている場合において、その事業経費の相当部分を当該事業者が負担しており、かつ、次に掲げる事実のいずれか一の事実があるときは、原則として、当該事業の全部を当該事業者が行ったものとする。
(1) 事業者の役員又は使用人で一定の資格を有する者が、その資格において当然に当該団体の役員に選出されることになっていること。
(2) 当該団体の事業計画又は事業の運営に関する重要案件の決定について、当該事業者の許諾を要する等当該事業者がその事業の運営に参画していること。
(3) 当該団体の事業に必要な施設の全部又は大部分を当該事業者が提供していること。
(消費税基本通達1-2-4より抜粋)

一方で、上記通達に該当しないような場合でも、会社の負担分について、福利厚生目的での社内サークルの経費として活用されたことを会社宛ての領収書等で明確にされている場合については、課税仕入 (課税仕入とならないものを除く) として取り扱うことができます。

なお、上記のいずれについても、従業員の個人負担分がある場合は、明確に区分する必要があります。

社内サークルに講師を招いた場合の注意事項

会社によっては、外部から講師を招き、茶道サークルなどを運営することもあるでしょう。

このように、個人の外部講師に支払う報酬に関しては、源泉所得税の徴収が漏れてしまうことが多いので、注意が必要です。

まとめ

会社が福利厚生目的で社内サークルの経費を負担した場合は、原則として従業員側は給与として課税されず、会社側も福利厚生費として経費処理することができます。

ただし、一定の場合には、従業員側の給与として処理されることもありますし、法人側も経費処理の取扱いが異なってくることもあります。

また、外部講師を招く場合の報酬に対する源泉所得税の徴収漏れにも気を付けたいところです。

社内サークルを運営するにあたっては、事前にこの辺りをしっかりと押さえておきましょう。

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